「子供の肥満に効く介入ランキング」を調べたメタ分析の話
「子供の肥満に効くテクニックはこれだ!」みたいなメタ分析(R)が出ておりました。食事、運動、ライフスタイル改善など、肥満を防ぐためのテクニックはいろいろあるけど、なかでも子供時代の太りすぎをコントロールするには何がベストなのか?って問題ですな。
この研究は、1984年から2017年の間に発表された、肥満予防の実験から24件をピックアップしたもの。ざっとデータの内訳をまとめとくと、こんな感じです。
- 健康な6~12歳を対象にしたRCTがメイン。トータルの参加者は2145人
- BMI、BMI標準偏差スコア、体脂肪率などで結果を判断し、全て組み合わせて「肥満指数」を出す
- 食事、運動、ライフスタイル改善のうち最低でも2つをふくむものをチョイス
- 実験期間は5週間から18カ月のあいだ
全体的にはバイアスのリスクは低めで、エビデンスの質は小~中程度ってところですね。なかなか参考になりそうじゃないでしょうか。ちなみに、ここでいう「改善」ってのは、
- 食事=野菜と果物が多めでお菓子が少ない、あきらかに健康的な食事をする
- 運動=ちょっとはぁはぁするぐらいの身体活動を、1日平均で60分以上やる
- ライフスタイル改善=スマホやテレビの試聴時間を減らしたり、日常的な食習慣についてアドバイスしたり、運動の量をモニタリングしたり
ぐらいの意味になります。非常にベタな方法ばかりっすね。
その結果、標準化平均差をもとに効果が大きそうな順番にランクキングすると、以下のようになります。
- 7位 親が関与する、食事+運動の改善
- 6位 親が関与しない、食事+運動+ライフスタイルの改善
- 5位 親が関与しない、食事+運動の改善
- 4位 親が関与する、食事+運動+ライフスタイルの改善
- 3位 親が関与しない、食事の改善
- 2位 親が関与する、食事の改善
- 1位 親が関与しない、運動の改善
というわけで、なんだか「親は関わらずに子供には好きに運動させとけ!」みたいな印象を受けるランキングですが、全体的なデータを見てますと、親が関わった場合のエビデンスの強さは中程度なんだけど、親が関わらないときエビデンスレベルは低いです。また、運動を使ったダイエットについては、最長4カ月の試験しか考慮されてないので、長期的に見たらよくわからんところもあったりはしますんで。そこらへんはご注意ください。
実際、2015年のメタ分析(R)なんかだと、「親が関わったほうが肥満予防プログラムはうまく行くよ!」って証拠のほうが精度が高かったりしますからね。新しいメタ分析と合わせて考えると、子供のダイエットには親が積極的に関わったほうがいいんじゃないかなーとは思っております。
以上の話をふまえて私見をまとめますと、
- すべて大事なのは間違いないが、とりあえず食事が一番重要っぽいかなぁ……
- 親の関与ははっきり言えないけど、過去データも合わせたらやっぱ関わった方がいいだろうなぁ……
みたいになります。なんかモワッとした結論ですが、そんなところでひとつ。