脳改善お役立ちデータ:認知に効くサプリ、カロテノイドと脳機能、ヨガで頭は良くなる?
「過去に類似の話を紹介したけど、さらに追試で効果が確認されたので無視するのももったいないケース」をまとめて取り上げてみるシリーズです。今回は「脳の改善に役立ちそうなデータ」を3つ、すごーくざっくりとまとめてお送りしまーす。
サプリで認知のパフォーマンスはアップするか?のメタ分析
サプリで脳の働きは上がるか?をガッツリ調べたメタ分析(R)が出ておりました。どんな話だったかと言いますと、
- 脳機能とサプリの関係を調べたRCT37件をピックアップする
- 実験の参加者は、健康な若年(18~35歳)の軍人または民間人
- レビューに含まれたサプリメントは以下のとおり。
- チロシン(8試験)
- カフェイン(7試験)
- イチョウ葉(7試験)
- フラボノイド(5試験)
- ガラナ/ガラナ+マルチビタミン(4試験)
- オメガ3脂肪酸(2試験)
- 硝酸塩(2試験)
- ビタミンB群(1試験)
- 高麗人参(1試験)
- β-アラニン(1試験)
- プレバイオティクス(1試験)
みたいになってます。そのうえで、みんなの情報処理速度、注意力、記憶、および実行機能に変化が出るのかをチェックしたわけっすな。ちなみに、被験者に軍人さんが含まれているのは、一般に軍人さんは睡眠不足や疲労感が強いので、サプリの効果が出やすいからだそうな。
で、分析の結果がどうだったかと言いますと、
- 大半のサプリメントはエビデンスの質が低く、実験結果に一貫性がなかった
みたいな感じです。こんだけいろいろ並んでても、結局はカフェインとチロシンの効果のみ一貫してたわけっすね。まぁほとんどの研究は方法のバラつきが大きすぎて、それぞれを直に比べるのはほとんど無理だろうなーって印象ですが。
カロテノイドとビタミンA、C、Eは脳に良いのか?
カロテノイドやビタミンA、C、Eの抗酸化が強いのはご存じのとおり。ならば「認知機能が下がっちゃう原因である酸化ストレスにも効くのでは?」ってことで、そのへんを調べる研究(R)が行われておりました。
これは、HANDLSっていう有名なデータベースから30~65歳の成人1,251人の健康データをまとめたもので、
- カロテノイド、ビタミンA、C、Eの摂取量を調べる
- 注意、学習/記憶、実行機能、視覚能力、言語能力などの変化を調べる
って感じで全体の認知パフォーマンスを調べております。
で、複数の数値をコントロールした後、どんな傾向がみられたかと言いますと、
- カロテノイドの摂取量(おもにリコピン)が多い場合、ビタミンEは言語記憶能力の向上と相関していた
みたいな話だったそうです。もちろん、だからと言ってリコピンやビタミンEのサプリを飲めって話ではないのですが、とりあえず食事から2つの成分を取っておかないとなーぐらいにお考えください。トマト推奨ですな。
ヨガで高齢者の認知機能は向上するか?
「高齢者の認知低下にヨガが効くかも?」みたいなメタ分析(R)が出ておりました。先行研究から11のRCTをまとめたもので、
- 認知症の有無にかかわらず、55歳以上の成人を対象にヨガと認知の関係を調べたものをピックアップ
- ヨガの種類は、ヨガ瞑想(5試験)、ハタヨガ(4試験)、クンダリーニヨガ(2試験)だった
- 具体的な認知の機能としては、実行機能(10試験)、記憶(9試験)、注意力と処理速度(7試験)への効果を調べている
- それぞれの調査内容について、健康状態(健常者 vs 認知症)にもとづくサブグループ分析も実施
みたいな内容になってます。でもって、すべてのデータをひっくるめて何がわかったかと言いますと、
- ヨガまたはヨガ系の瞑想法は、健常者と認知症の両グループにおいて、注意力と処理能力を向上させた
って感じだったそうです。バイアスのリスクが不明瞭なんではっきりは言えないものの、健常者でもヨガで注意力で処理能力が上がるってのは、ちょっと良い結果じゃないでしょうか。これはヨガだけにしぼった研究ですけど、マインドボディ系の介入はどれも似たような効果がありそうなんで、格闘技とかでもマインドフルにやれば同じようなメリットが得られそうな予感。