夕食を抜く人は1.5倍ぐらい太りやすくなるのではないか?という日本の学生研究のお話
昔から「朝食抜きは体に悪い!」ってデータは多くて、実際に朝ごはんを食べない人ほど肥満が多いってな報告も複数あったりします。ただ個人的には「これって、朝飯を食べないような人は不健康だからでは?」みたいに思ってまして、朝食については「どっちでもいいんじゃない?」ぐらいに思ってますが。
で、新しく大阪大学の先生方が行ってくれた研究(R)は、「夕食抜き」の問題を取り扱ってくれておりました。朝食抜きの調査はたくさんあるのに、夕食抜きの影響を調べたものって少ないので、とても貴重でいいんじゃないでしょうか。
どんな実験だったかと言いますと、
- 大阪大学の学生さん26,433人を6年間追跡
- 夕食を毎日食べる人とそうでない人を比べて、体重の増加に違いがあるかをチェック
みたいになってます。夕食をほぼ食べない生活ってなかなかすごいですが、どういうライフスタイルなんですかね。バイトや仕事で時間が取れないとかだろうか……。
でもって、分析の結果、どんな傾向が見てとれたかと言いますと、
- 夕食を毎日食べる人と比べて、そうでない人は体重が10%以上増加するリスクが高かった(男性で1.42倍、女性は1.67倍)
- 同時に、肥満(BMIが25以上)の発症リスクも高まった(男性で1.74倍、女性は1.68倍)
だったそうです。一方で朝食や昼食を食べる回数と体重増加&肥満の関連は認められなかったそうで、研究チームは「朝食に比べて夕食のほうが体重の増加に及ぼす影響が大きいことが示唆された」とコメントしておられます。なかなか不思議なもんですな。
となると、なんで「夕食抜きで太りやすくなるの?」ってのが気になりますが、とりあえずの推測としては、
- 夕食を抜くと逆に食欲が増して食べすぎちゃうから?(ただ、個人的には1食抜くのが食べすぎにつながるかというと怪しい気もする)
- 夕食を抜く人は食事の質が低いことが多いから?(実際、先行研究でも夕食を抜くと健康的な食事の指数が下がるって報告があるらしい)
- 夕食を抜くせいで体内時計が狂っちゃうから?(これも少しありそうな気はする)
といったあたりが挙げられておりました。まぁ体重への影響ってことで言えば「やっぱ食事の質が大きいのかな〜」って印象でして、研究チームも「夕食を抜くと朝食を抜く場合と比べて、野菜および魚介類/植物性タンパク質の摂取量が有意に減少した」ってなデータを取り上げておられました。ただこのあたりは謎が多いんで、まだなんとも言えないとこですね。
また、この研究では「朝食抜きでも体重が増えない」って結果が出てまして、こちらも不思議なポイントであります(過去の調査と結果が違うんで)。これについては、
- もうちょい調査期間が長かったら違ったかも?(先行研究は10年とか18年とかザラなので)
- 睡眠時間との関係性が大きいのかも?(ヨーロッパとブラジルの横断研究とかだと、睡眠時間が1日8時間以上の若者は「朝食抜き」でBMIが増えやすかったが、1日8時間未満の場合はそこまで関連が見れなかったらしい)
みたいな仮説が述べられておりました。うーん、これも謎が多いな……。
ってことで、くわしいメカニズムはまだまだ調査が必要ながら、夕食抜きが肥満の予測因子として使える可能性は大きそうではあります。どうぞよしなに。