朝食を食べたほうが痩せる!はどこまで正しいの?というメタ分析の話
朝食っていいの?悪いの?って問題は昔からありまして、このブログでも、
といった話を書いております。現時点でのざっくりした印象では、
- 子供や体が弱っている人は朝に食べたほうがいいかも
- 中年のアンチエイジングには朝食を抜いたほうがよさげ
ぐらいの感じでして、基本的には「パレオダイエットの教科書」に書いたこととあんま変わってないです。
ってことで、新しく出た論文(R)も「朝食ってどうよ?」がテーマになっていて、ここでは「朝に食事をしたほうが痩せるのかどうか?」って問題を調べてくれております。
このテーマについては過去に何度かまとめたことがありまして、「確かに『朝食を抜くと太る!』ってデータは多いけど観察研究ばっかでよくわからんなぁ…」みたいな結論でありました。なにせ、いっぽうでは「朝食を抜こうが抜くまいが同じ」って研究も意外と多いんですよね。
ということで今回のデータは、過去に行われた「朝食とダイエット」にかんする研究から質が高めの13件を抜き出したメタ分析になっております。ありがたいことにすべてランダム化比較試験になってまして、かなり信頼性は高いです。
で、その結論がどうだったかと言いますと、
今回の研究は、朝食をとってもダイエットの役には立たない可能性を示した。ダイエット中の成人に朝食をすすめるのは気をつけたほうがいい。逆効果になるかもしれないからだ。
だったそうです。朝食はダイエットのジャマになっちゃうかもしれないんだ、と。
さらに、もうちょいくわしい結果はこんな感じです。
- 朝食を抜くよりも、朝食を食べたほうが、その日の摂取カロリーは多くなる可能性が高い
- 朝食を抜くと、1日の総摂取カロリーが260kcal少なくなるかも
ってことで、全体的に見れば「朝食を抜いたほうがダイエットには役立つ!」って傾向なんですな。
ただ、個人的には「朝食抜きで1日260kcal減」って数字はあやしい感じがしております。というのも、両グループの最終的な体重差を見てみると、0.44kgぐらいしか違いがないもんですから。基本的に、ここであつかわれてる摂取カロリーの数字は、「個人の記憶にたよって計算する」という手法で割り出されてるんで、どうにも信頼性がないんですよね。
あと、 朝食抜きの個人差もかなり大きいし(I2=43%).、一般的な研究とくらべると甘いデータが多い印象でもあります。ここらへんも合わせると、「朝食抜きのほうが痩せる!」とはとても言えない感じ。
以上をふまえて、今回の研究から言えそうなのは、
- 少なくとも「朝食を食べたほうが痩せる!」ってことはなさそう
- 朝食抜きにどれだけのダイエット効果があるのかはよくわからない
といったところでしょう。やはり個人的には、「朝食は抜こうが抜くまいがどっちでもいいかなー」ぐらいの感想ですねぇ。