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朝食を抜くと体にどんな影響があるのか?またはないのか?

Breakfast

 

パレオダイエットの教科書」では、「朝食は抜いても太らないんじゃね?」ってコラムを載せております。一般的には「朝食を抜くと太る」と言われますが、実験室で行われたデータでは「太るどころか痩せやすい」って結果も多いんですよー、みたいな話です。

 

 

と、ここでたまに聞かれるのが「他の影響はどうなのよ?」ってごご質問です。たとえ朝食を抜いても太らないとしても、健康によくない可能性もあるんじゃないのか、と。実にもっともな疑問ですね。

 

 

ってことで、ここでは朝食を抜くと体にどんな影響が出るのか、または出ないのかを見ていこうと思います。

 



 

 

 

1.朝食抜きとコレステロール

手始めに、朝食抜きと健康のレベルについて。といってもいろんな指標がありますんで、まずは2014年に行われた「朝食を抜くとコレステロールは上がるのか」って実験(1)を見てみましょう。

 

 

これは24人の太りぎみな男女を「朝食抜き」と「朝食あり」にわけて、4週間でどうなるかをチェックしたもの。それでどうなったかというと、

 

  • 朝食抜きグループはもっとも体重が減っていた
  • 朝食抜きグループは最大で0.4 mmol/Lほどコレステロールが増えた
  • 血圧は両グループとも変化なし

 

 みたいな感じ。コレステロールが上がってるのが気になりますが、最大0.4 mmol/Lってのは心疾患リスクにはまず影響がないレベルだったりします。別の大規模な実験でも似たような数値でして、まぁ心疾患リスクについては無問題ではないかと。

 

 

2.朝食抜きと血糖コントロール

ただ、ここで大事なのが「朝食抜きと血糖のコントロールはどうなるの?」って問題であります。実は2015年のデータ(2)だと、「糖尿病の人は朝食抜きで状態が悪化する」って結論が出てるんですよ。

 

 

こちらは糖尿病の患者さん22人を対象にした実験で、クロスオーバーで「朝食抜き」と「朝食あり」の影響を調べたんですね。その結果、朝食を抜いたときのほうが血中のグルコースが増えてインスリンの量が下がってたそうな。

 

 

ほかの過去データを見ると、健康な一般人は「朝食抜き」でも問題はないようですが、血糖のコントロール機能が異常を起こしている人は朝食を食べたほうがよさそうですね。

 

 

3.朝食抜きと代謝アップ

よく「朝食を食べると代謝が良くなるよ!」などと言われます。朝食を抜くと体がエネルギー切れを起こすので、結果として代謝が下がるって発想ですが、この説はわりと怪しげ。

 

 

たとえば、上で取り上げた 2015年のデータ(2)では、朝食抜きグループの安静時の代謝を計ってみたところ、まったく変化がなかったんですよ。また、2014年に行われた別の研究(3)でも、普通体型の参加者33人で朝食抜きの代謝を計ったものの、やっぱり違いがないとの結論だったりします。

 

 

つまり、肥満だろうが普通体型だろうが、朝食を抜いても代謝は同じ。結局、1日の代謝レベルを決めるのは絶対的なカロリー量で、食事のパターンでは別に左右されないってことなんでしょう。

 

 

まとめ

以上の話をざっくりまとめると、

 

  • 体が弱ってる人(特に糖尿ぎみな人)は朝食を食べるべき

 

って感じ。また、ここでは触れませんでしたけど、妊婦さんや成長期の子供なども、とりあえず朝食は食べといたほうが無難でしょう。

 

 

それ以外の方であれば、朝食を食べるか食べないかは好みの問題って気がします。どうぞよしなに。 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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