打たれ強い心を作る「アミノ酸+抗酸化」メソッド
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脳内ホルモンバランスの崩壊で鬱が起きる
鬱病の原因にはいろんな仮説があって「これだ!」ってものはないのが現状なんですが、有力な候補のひとつが「脳内ホルモンの異常説」であります。というのも、過去の研究(1)では、鬱病に悩む人の脳には脳内ホルモンを分解する酵素が人より多いって結果が出ているんですね。これはMAO-Aって酵素で、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンとを分解する働きを持ってるんですよ。
これらのホルモンは、どれも感情の安定やモチベーションアップに欠かせない物質。MAO-Aが増えたせいで脳内ホルモンの量が減り、結果として何もやる気が起こらず、情緒も不安定な状態になっちゃうわけですな。プロザックのような抗鬱剤は、このへんのメカニズムに作用しとります。
アミノ酸と抗酸化物質の合わせ技でメンタルが強くなる?
で、ここで昔から言われてきたのが、「アミノ酸と抗酸化成分の合わせ技でメンタルが改善しまくるんじゃない?」みたいな説。具体的には、トリプトファン+チロシン+アントシアニンの組み合わせで鬱がやわらぐんじゃないか、と。さらに細かく言いますと、
- トリプトファン=感情の安定をつかさどるセロトニンの材料
- チロシン=モチベーションをつかさどるドーパミンの材料
- アントシアニン=言わずと知れた優良ポリフェノールのひとつ。抗酸化作用が強い
みたいな働きを持っております。トリプトファンとチロシンで脳内ホルモンを増やして、そこに抗酸化物質を補助として使うわけですな。
抗酸化物質がサポート役になるのは、MAO-Aが活動する際に、副産物として大量の過酸化水素を生み出すから。こいつが酸化ストレスになって脳に炎症を起こし、鬱病の発症につながると考えられてるんですね。
トリプトファン+チロシン+アントシアニンが凄い?
ってところで、実際にトリプトファン+チロシン+アントシアニンの効果を試した研究(2)が出ておりました。これはトロント大学の実験で、41人の健康な妊婦さんを対象にしたもの。年齢は18〜45才で、出産直後に全員を2つのグループにわけたんだそうな。
- トリプトファン2g、チロシン10g、ブルーベリーパウダー4g(アントシアニン12%)のブレンドを飲む
- 何も飲まない
産後のホルモンバランスの変化により、気分が不安定になりやすいのは有名な話。この現象が、アミノ酸とポリフェノールによって防げるかを調べたわけですね。
アミノ酸と抗酸化物質で打たれ強いメンタルに?
で、5日後の結果はと言いますと、- アミノ酸+ポリフェノールを飲んだグループはメンタルが打たれ強くなった!
って感じです。平常時の気分はどちらのグループも同じぐらいだったんだけど、わざと参加者が暗い気持ちになるように誘導した場合は、アミノ酸+ポリフェノールを飲んだ人のほうがメンタルが沈まずにすんだらしい。
いちおうグラフも引用しとくと以下のような感じ。右側のラインがサプリを飲んだグループで、左が何も飲まなかったグループ。どちらもメンタルが動揺した振れ幅を表しております。
こうして見ると、サプリを飲んだグループのほうが、あきらかにメンタルの動揺(線の角度)が少ないですねー。おもしろいもんです。
まぁ、この実験はランダム化をしてないので、データとしてはやや精度が低めではあります。とはいえ、チロシンやトリプトファンの効果については昔からおもしろい研究が行われてますし、アントシアニンの酸化作用については言わずもがな。そう考えると、ちょっと試してみたくなるわけです。
トリプトファンやチロシンは食品にも入ってるんだけど、実験と同じ量を鶏むね肉から摂ろうと思ったら、1日に900〜1200kgぐらい食べなきゃいけないのがツラいところ。サプリを使うのが現実的なんでしょうな。