ハチミツは砂糖より体に良いのかを徹底的に調べた研究が出てたぞー
「ハチミツはどこまで体に良いか?」を調べたメタ分析(R)が出ておりました。
ご存じのとおり、ハチミツには「体に良い」という報告が昔からありまして、パレオダイエットの世界でも「精製糖の代用品としていいのでは?」と言われてるんですね。精製糖ってのは、高濃度に加工された糖(ショ糖とかブドウ糖とか果糖とか)のことで、白砂糖、サトウキビ糖、高果糖コーンシロップなどが典型であります。
精製糖が体に悪いのは言うまでもなく、多くの研究により、精製糖を大量に摂取する人は、さまざまな病気のリスクが高まってしまうと考えられております。そのため、もっと体に良い甘味料で代用できたらいいなーって感じなんですよね。
もちろん、ハチミツも精製糖の一種ではあるんですが(ミツバチが「精製」してるんで)、糖のほかにもフラボノイドやフェノール酸といった良い成分が豊富なので、少なくとも砂糖を大量に使うよりは体に良かろうと思われるわけです。
ということで、このメタ分析では16のRCTを評価し、「ハチミツはどこまで体に良いか?」を深堀りしてくれてます。試験には1,105人の参加者がふくまれ、ハチミツの投与量は1日あたり5~125gで、中央値は1日あたり40gだったとのこと。全体のデータ品質はまちまちですけど、それなりに信頼がおける結果を出してくれてるんじゃないでしょうか。
で、分析の結果は、こんな感じになりました。
- ハチミツの摂取は、空腹時グルコース、総コレステロール、LDL、中性脂肪、ALTを減少させる
- ハチミツの摂取は、HDL、IL-6、TNF-αを増加させる
- 体重やウエストサイズ、血圧、尿酸については、ハチミツによる明確な変化が見られなかった
ということで、大きな結論としては、「全体的にハチミツは砂糖や果糖よりも良さそう。ただし、体内の炎症に多少の悪影響が出るかも?」みたいな感じですね。
もっとも、この文献を読む際は、いくつか注意点がありまして、
- ハチミツで確認されたメリットとデメリットは、どちらも変化の割合が非常に少ない
- ハチミツで変化が見られたパラーメータは、どれも証拠の質が低いか中ぐらいのデータにもとづいている。ただし、HDL(善玉)コレステロールの変化のみ、データの質は高い
といったあたりはご注意ください。おそらく砂糖や果糖よりは良いんだろうけど、まだそんなに確定した事実でもないので。
ちなみに、この結果を読むと「ハチミツって炎症を促進しちゃうのか!」と思う人も多そうですが、データを見る限り、ハチミツは明らかにCRP(炎症のメインの指標)に影響を与えていないし、IL-6とTNF-αの増加については、それぞれ2件のデータだけをベースにしているので、個人的にはあんま気にしてなかったりします。こちらも今後の追試待ちですね。
ということで、いろいろ書いてきましたが、今回のメタ分析は、ハチミツの健康効果について調べたものとしては最も包括的な内容なので、非常に参考になりました。ざっくり話をまとめると、
- いまのところ、「ハチミツは善玉コレステロールに良い影響を与える」って知見のみ信頼度が高く、それは以外のマーカー(例えば、空腹時グルコース、LDL-C、炎症など)については、その根拠は非常に限定的だと思われる。
みたいになりますね。なかなか判断が難しいとこではありますが、私の方針としては、「ハチミツは積極的に摂取するようなものではないが、砂糖や高果糖コーンシロップの代用として使うならアリ」って感じに落ち着きましたね。どうぞよしなに。