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今週末の小ネタ:仕事の成果が出やすい人の特徴とは? 他人の力で自分のセルフコントロール能力が上がる! 結婚で性格はどう変わるのか?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

他人の力で自分のセルフコントロール能力が上がる!

こないだ「結局、私たちの人生を変えてくれるのは『他人』」なんて話を書きました。人間は他人の影響を受けやすい生き物だから、自分を変えようと思ったら、付き合う人を変えるのがいいよねー、みたいな話ですね。

 

 

で、近ごろチェックしたデータ(R)も「他人の力で自分が良い方向に変わる!」って話で、結論から言っちゃうと、

 

  • セルフコントロール能力が低い人ほど、よりセルフコ ントロール能力が高い仲間を好む傾向があり、そのおかげで実際に誘惑に打ち勝つ力が強くなる!

 

みたいな話です。「お菓子は控えたいけど食べちゃう!」「勉強が必要なのについフェイスブック見ちゃう!」といった問題にお悩みの方ほど、自制心がある人にくっついていくと良いよーってことですね。

 

 

ここでは3つの実験を行ってますが、たとえば136組の恋愛カップルを調査したデータでは、自己管理能力が低い人ほど、自己管理能力が高いパートナーに依存し、そのおかげで自分のセルフコントロール能力を高めていたそうな。

 

 

研究チームいわく、

 

私たちが示したのは、自制心が低い人は、誘惑に打ち勝つのを助けてくれる人に暗黙のうちに囲まれている、ということです。友人のちょっとした助けで、私たちの行動は何とかなるものです。

 

とのこと。自分に自信がない方は、自制心がある友人で身を固めるのもアリっすねー。

 

 

 

結婚で性格はどう変わるのか?

人の性格がライフイベントによって変わるのはつとに知られた事実ですが、ジョージア大学などの研究では、「人間の性格は結婚で変るのか?」を調べてくれてておもしろかったです(R)。これは169組のカップルを集めた調査で、みんなのパーソナリティをチェックしたあと、全員が結婚し てから18ヶ月後に再び調査を行い、どのような変化が起きたかを確かめたんだそうな。

 

 

結果、わかったのはだいたい次のような内容です。

  1.  男は結婚後に外向性が下がりやすい。これは、 結婚で人づき合いが悪くなるのが原因だと考えられる。

  2.  女は結婚後に神経症傾向が改善しやすい。こ れは、女性が「妻」という新たな社会的な役割を得たことにより、アイデンティティがより強固になったのだと考えられる。

  3.  女は結婚後に開放性が下がりやすい。この原因については、研究チームも謎としている。

  4. 男は結婚後に誠実性が高くなりやすい。こちらも、「夫」という新たな社会的役割を得た ことにより、責任感が増すのが原因と考えら れる。

  5. 男女ともに結婚後は協調性が下がる。これは、 伴侶を得たことにより、必要以上に他の人間 と協調しなくてよくなるのが原因だと考えられる。

  6. 以上の変化は、被験者の年齢、住んでいる場 所、所得、職業などとは無関係に確認された。

 

ということで、結婚でも人間の性格ってのは割と変わるもんですな。「誠実性」とか「開放性」の意味がわからない方は、「3分で自分の性格を正しく理解する『ショートビッグファイブ検査』」をご参照ください。

 

 

 

仕事の成果を出しやすい人の特徴とは?

ボストン大学のロブ・クロス先生の本(R)を読んでたら、「仕事の業績が上がりやすい人と上がらない人の違い」を調べたデータが出てたのでメモしときましょう。

 

 

本書はソーシャルネットワークの重要性についてまとめた本で、クロス先生は4万人の新社会人に調査を行い、毎月ごとに全員のネットワークサイズ(人脈の多様性と量)と仕事ぶりをチェック。その上で、仕事の業績が上がりやすい人と上がらない人の違いを調べたところ、以下のことがわかったらしい。

 

  1.  ネットワーキング(人間関係づくり)がうまい人は最短9ヶ月で出世 するが、ネットワーキングが下手な場合は最長で 4 年 かかる。

  2.  ブランドビルディング(自分の能力を積極的にア ピールすること)は無意味で、出世の早さと逆相関が見られた。つまり、自分の能力アピールは、出世のさまたげになる可能性がある。

  3.  業績が良い新社会人も多数のミーティングやイベ ントに参加していたが、まず相手に多数の質問をして、向こうのニーズを引き出した上で、自分オファーできるものを差し出す傾向があった。

  4.  業績が良い新社会人は、自分の部署のリーダーと強い関係を結ばず、特定のメンターも持たない傾向が あった。その代わりに、彼らは自分が所属する組織の「オピニオンリーダー」(もっとも仕事のノウハウを蓄積し ている人)を探して、積極的に関わろうとする傾向があった。そのため、業績が良い者ほど、独自のアフィニティグループに所属しているケースが多い。

  5.  業績が良い新社会人は、2〜4年ごとにネットワーキングの手法を変える傾向がある。最初は親密な同僚 とのコネクションを築き、それによって作業量を平均 で 18 〜 24%減らすことに成功している。

  6. その後、彼らは会社から飛び出して、「同じ価値観 は持つが畑が違う分野の人」と交流を持つようになる。 有能な者ほど、異分野の人間と交流を持つケースが多く、短期のメリットもあまり気にしない。

 

ということで、「社会でうまくやるには人間関係が大事だよなー」ってのは誰でも知ってる話ですが、こうしてみると「定期的に自分の人間関係づくりの手法を見直して、いろんな種類の人とガンガン付き合う人ほど成果が出やすいよー」ってのは言えそうですね。いろんな人と付き合うどころか、積極的に人間関係を築こうとしない私には、どうにも耳が痛い話なんですが……。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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