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「嫌な頼みを断りたいときは「○○」を明確にしなきゃダメでしょ!」という本を読んだ話


 

NOの力(The Power of Saying No)」って本を読みました。著者のバネッサ・パトリック博士は、ヒューストン大学のマーケティング学教授で、個人的には、経営学のジャーナルでよく名前をお見かけする印象です。

 

本書のテーマは、タイトルどおり『他人の頼みをいかに断るか?』で、ビジネスの領域に特化した内容になってますが、「気が弱くてやりたくないことまで引き受けてしまう……」という方にも有用じゃないでしょうか。

 

では、いつもどおり個人的に参考になったところをまとめてみましょう。

 

  • 誰かに嫌なことを頼まれたり、どうでもいいイベントに誘われたりして、「これは断りたい!」と思ったときに、すぐに「ノー」を言える人は少ない。多くは「ノー」と言うことに不安を抱き、葛藤の感情にさいなまれてしまう。これは、「ノー」を「社会的に好まれない反応」だと考えているのが原因である。

 

  • どの社会においても、私たちは他人を助けるのが最大の美徳だと教えられ、協力的にふるまうように条件づけられている。ヒトは帰属欲求を持つ社会的な生き物であり、「他人の評判」をことさら気にするように進化してきた。そのため、ノーと言うことで自分の評判が下がることを懸念し、人から良い印象を持たれるようにイエスと言ってしまう。

 

  • この問題を乗り越えるには、「エンパワード・ノー」が必要になる。これは、説得力を保ちながらも、相手から反発を招かないようなに断る方法のこと。そのためには、あなたのアイデンティティを明確にし、あなたの価値観、優先順位、好み、信念をしっかりと把握しなければならない。この点が明確になれば、自信を持って「私は決して○○はしない」と言うことができる。

 

  • たとえば、あなたが「早朝ミーティングに出たくない……」とぼんやり考えていたら、会議に参加できない言い訳ばかりをダラダラ考えてしまうはず。それよりも、ただ「早朝のミーティングはやらない」とチームに伝えた方が簡単なのは間違いない。

    しかし、ここであなたが「朝の時間は人生の計画を立てるために必要だ!」と考えていれば、「できない」ではなく「やらない」と言い切るのが簡単になるはず。また、チームにも「私は早朝ミーティングをするような人間ではない」との事実を明確に伝えられるため、嫌われたり、自分自身の評判が傷つく可能性もは低くなる。

 

  • このような態度を身につけるのに必要なのは、「ART(Awareness、Rules not Decisions、Totality of Self)」の頭文字を意識すると良い。

    ひとつめのAwarenessは自己認識のことで、効果的にノーを言うためには、自分の内面を見つめ、自分自身の価値観、信念、優先順位、好みについての理解を深める作業を意味する。自己理解を深めることで、「自分にとって良い」活動と「自分にとって良くない」活動をふるいにかけられるようになり、何にイエスと言い、何にノーと言うべきかを決められるようになる。

 

  • ふたつめのRules not Decisionsは、上で行った自己認識を頼りに、自分の決断の指針となる簡単なルールを作ることを意味する。明確なルールができれば、ノーの威力が強化され、信念と決意を持って拒否することも可能となる。

 

  • みっつめのTotality of Selfは、他人の頼みを断る際に、言葉だけでなくボディランゲージにも注意することを意味する。「私は○○な人間ではないので○○はしない」と言うときは、笑顔で、前傾姿勢で、友好的なジェスチャーを使い、こちらの「ノー」はあくまで自分の価値観にもとづくものであり、相手を拒絶する意図はないことを強調する。

 

  • それと同じく、コスト・ベネフィットの枠組みを使うのも良い。相手が頼みごとをしてきたら、単純な費用対効果を考え、時間やエネルギー、その他のリソースの面で自分にかかるコストと、その依頼にイエスと答えた場合に得られるメリットとを天秤にかけて考えるていく。

    同時に、「自分にとって低コスト」でありつつ、相手には大きな利益をもたらす対案を考えてみるのもよい。「自分にとって低コストの」対案とは、あなたにとって簡単にできること、あるいはあなたの目的に合致しているものを意味する。また、「相手に利益をもたらす対案」とは、あなた独自の態勢で行うことができ、あなたの専門性に合致し、なおかつあなたが世界に与えるインパクトを拡大するものである。逆に、些細な仕事をこなすために投資する労力が大きい頼みごを受ける時は、力強くノーと言ったほうがよい。

 

  • 世の中には、こちらに「ノー」を言わせない強引な頼みごとをしてくる人もいる。このような人は、「(1)対面で頼みごとをすることを好む」「(2)自分の家やオフィス、自分が勘定を払うレストランなど、自分が優位に立てる場所を選ぶ」「(3)即答を要求する」といった特徴がある。このような特徴を持つ人をあらかじめ認識しておけば、その場の雰囲気に飲まれずノーを言えるようになる。

 

  • いずれにせよ、正しく「ノー」を言う最大のこつは、その「ノー」が自分のアイデンティティに基づくものかどうかを意識することである。はっきり「ノー」といえるだけのアイデンティティが見つからないときは、自分の価値観が明確になるまで、電子メールやテキスト・メッセージでノーと言い直すなど、テクノロジーをバッファとして使うのが良い。

 


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