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「脂肪燃焼ゾーン」を見つけて運動で体脂肪を減らすにはどうすればいいの?

 


脂肪燃焼ゾーンって考え方があるじゃないですか。「心拍数が最大値の55%から65%の範囲にあるときに、最も脂肪が燃えやすくなる!」みたいな考え方で、ジムなんかにも貼ってあったりしますよね。

 

この考え方はわりと正しくて、最近のレビュー(R)でも、肥満の男女約7,500人を含む64の過去データをまとめたところ、

 

  • 最大心拍数の57〜66パーセントで運動した人が、最も高い割合で脂肪を燃焼していた!

 

って結論だったんですよ。そんなわけで、体脂肪を燃やすために運動をするなら、とりあえずこれぐらいの心拍数を目指すのが安全でしょう。

 

ちなみに、この結果を見ると「そんなに軽い運動でいいんだ!」と思う人もいるかもですが、運動中に脂肪が燃えるか、それとも糖質が燃えるかは、ほとんどの場合、運動強度によって決まるものなんですよ。

 

雑にまとめると、普通には激しい運動をすればするほど糖質が燃えやすくなり、軽い運動であればあるほど体は脂肪を燃料として使いはじめるんですね。なので、最大心拍数の57〜66パーセントが最適ラインってのは、当然といえば当然の話なんですな。

 

ただし、ここで難しいのが、脂肪燃焼ゾーンを実際に使うと、個人差が大きすぎて使いづらいところもあるってことです。こちらも2023年に発表された新しい研究(R)によると、 

 

  1. 年齢、体重、フィットネスレベルの異なる26人の男女を集める。

  2. 心拍数と呼吸モニターを使って、各人が最も脂肪を燃焼した強度と心拍数を特定し、そこから脂肪燃焼ゾーンを割り出す。

  3. この脂肪燃焼ゾーンを、一般的なヘルスクラブに記載されているアドバイスと比較する。

 

って感じで、脂肪燃焼ゾーンの考え方がどこまで使えるのかを調べたわけです。その結果、

 

  • 測定された脂肪燃焼ゾーンが、一般的なグラフの数値内に収まる人もいたが、1分間に10拍も違う人もいた!

 

って結論だったらしい。10拍というと大したことがなさそうですが、人によってはウォーキングとジョギングぐらいの違いが出るかもしれませんからね。考慮すべき差だと言えるんじゃないでしょうか。

 

つまり、なにも考えずに脂肪燃焼ゾーンを使うと、エクササイズがハードすぎか楽すぎるかのどちらかになってしまう可能性があるって話ですね。それぐらい個人差が大きいのではないか、と。

 

こうなると、自分にとって「真の脂肪燃焼ゾーン」を見つけるにはどうすればいいのかってところが気になりますが、上のレビューを行ったチャベス=ゲバラ先生は、以下のような保々を推奨しておられます。

 

 

  1. ラボでチェックする:生理学研究所で運動と代謝の検査を受ける方法。めっちゃめんどくさいが、最も正確な測定ができる。

    なかには、病院や大学、フィットネスセンターでも、有料で検査をしてくれるところもあるので、これを使うのも良いかもしれない。個人的にも、東京体育館とかでチェックしてみようかなーとか思っております。




  2. トレッドミルで推測する:トレッドミルで歩いて、自分の脂肪燃焼ゾーンを推定する方法です。

    そのためには、まずは心拍計やスマートウォッチをつけたまま、トレッドミルで最初は楽に感じるペースでウォーキングやジョギングをスタート。そこから、3~5分ごとに速度を上げていき、心拍数の上昇が停滞するまで続ける。これが、自分の最大心拍数(またはそれに近い値)だと考えられる。

    最後に、その最大心拍数の60パーセントを計算すれば準備はOK。その心拍数の近くで運動することを目指す。ちなみに、脂肪を燃焼させるには、「最大心拍数の60パーセント」のペースで40分以上を歩き続ける必要があるので、この基準を守るように注意。



     

  3. かなり楽に運動する:実際に45分ほど歩いてみる方法。 過去の研究では、最低でも45分間は維持できそうなスピードで歩くように指示された人は、自然と脂肪燃焼ゾーンに近いペースに落ち着いたらしい。難しい計算がいらないので、実はこれが最も手軽な方法かも。

    ちなみに、研究によると、多くの人の脂肪燃焼ゾーンは、時速4kmから5kmぐらいだったそうな。つまり、たいていの人は、ほんのちょっと早歩きをするぐらいが、ベストな脂肪燃焼ゾーンに入っているってことですね。このくらいのペースなら、どんな人でも楽にこなせるんじゃないでしょうか。

 

ってことで、いろいろと書いてきましたが、最も手軽に脂肪燃焼ゾーンを探すには、「かなり楽なペースで45分続けて運動してみる」って基準を守るのが、最も手軽で良さそうですね。

 

たとえ標準体重の人であっても、脂肪細胞は悪い影響をあたえる可能性がありますんで、1日に45分ぐらいの軽い運動をしてみるといいですね。どうぞよしなに。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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