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現代における最大の問題「人生が楽しくない」の原因を探った本を読んだ話


 

グッバイ・パーフェクト」って本を読みました。著者のホマイラ・カビールさんは、イースト・ロンドン大学でコーチング心理学とポジティブ心理学の修士号を取得し、Her Becoming(女性のエンパワーメントに特化した企業)の創設者なんだそうな。

 

本書のタイトルを見ると、完璧主義について書かれた本のようですが、サブタイトルは「他人を喜ばせ、自分を証明し、意見を押しつけるのをやめて、自分のために生きる方法(ow to Stop Pleasing, Proving, and Pushing for Others… and Live For Yourself)」って感じでして、他者とのコミュニケーションの問題を扱った内容になっております。現代人にとって切実な内容を取り扱った、良い本ではないでしょうか。

  

ということで、いつものように、本書で参考になったところをピックアップしてみましょうー。

 

 

  • 現代のポジティブ心理学では、人間の幸福を「機能(Functioning)」と「繁栄(Flourishing)」に分けることが多い。機能とは日々の暮らしをつつがなく行うことで、子供を育て、仕事をこなしながら日々を乗り切ることであり、たいていの人はこれを実践できている。

    一方で、繁栄は、人生に喜び、安らぎ、目的を抱くことであり、よりよい自分に成長するプロセスを意味する。複数の調査によれば、多く人は繁栄できずに暮らしを送っており、その事実に気づいている人もいれば、日々の仕事に忙殺されて考える余裕すらない人もいる。

 

 

  • 多くの人は、日常で機能的に活動できていたが、自分の人生とは断絶された感覚を持っていた。高機能に日々を送れているにもかかわらず、ストレスがたまり、生活に圧倒され、燃え尽きかけている人は少なくない。

    このような人は、しばしば他人の期待に応えようとして自分を追い込み、それができないときには自分を厳しく批判していた。そのせいで、「頑張っているのにうまくいかない」という感覚が続き、どこまでも人生が不幸に思えてしまう。

 

 

  • しかし、実際には、あらゆる生物は繁栄するように設計されている。これはアリストテレスが「エンテレケイア」と呼んだ考え方で、生物は繁栄するための能力を持って生まれ、正しい条件さえそろえば、その状態が現出するという考え方である。

    ヒトは社会的な種なので、繁栄のための正しい条件は「人間関係の強さ」だと言える。この人間関係には、友人、家族、パートナー、地域のコミュニティなどがふくまれるが、その中でも最も大事なのは、生後間もない時期における養育者との関係である。この時期に、私たちは世界を認識する方法を学ぶからである。

 

 

  • 幼年期に健全な自己価値の感覚が育まれた人は、物事が思い通りに進まないときでも、安心して目標を追い求めることができる。これは、その目標に「自分の人間としての価値がかかっているわけではない」と感じられるからである。

    「思いやり」の研究で有名なポール・ギルバート博士は、この状態を 「安定した努力」と呼んでいる。この状態では、私たちの努力は内なる安心感に支えられている。

    これと対照的なのが「不安定な努力」で、「世間は何を評価しているのか?」という基準で目標を追い求める。その結果、不安、他人との比較、羞恥心などに苦しめられてしまう。

 

 

  • 愛着スタイルに関する研究によると、私たちのほとんどは、安定した愛着をもって育っていない。特に現代はストレスが多いため、養育者がどれだけ努力しようが、安定した愛着スタイルを育成するのは難しい。

    また、SNSが発達した現代では、私たちはつねに「自分に足りないもの」を意識させられ、ありのままの自分ではダメだという意識が強まり、他者からの注目や評価を得るために、他の何者かになろうとする。その結果、他人を喜ばせ、自分の能力を証明し、絶え間ないパフォーマンスに追われてしまう人は後を絶たない。

 

 

  • このような精神の不安定さは、私たちがまだ認知能力を十分に発達させていない時期に形成されたものであり、自分では気づけないことが多い。また、このような不安定さは、とてもスピーディに表に現れるため、自分が幸福に結びつかない行動をしていることにすら気づけないこともある。

 

 

  • この問題を解決するには、ジョージア大学のマイケル・カーニス博士が提唱した、「最適な自尊心」を養うしかない。これは、安定した愛着スタイルに裏づけられた自尊心で、私たちが本来持っている自己価値を受け入れた状態を意味する。

    これに対し「脆弱な自尊心」と呼ばれるものも存在し、こちらは成功、承認、賞賛といった外的な要因によって自信を感じられている状態である。「脆弱な自尊心」は自己を防衛する行動をくり返させ、私たちを身動きできなくさせ、人生の可能性をせばめてしまう。ハーバード大学のロバート・キーガン博士の研究によると、大学教育を受けた成人の最大70%が、人生にに行き詰まりを感じているという。

 

 

  • 「最適な自尊心」を育むには、自己分析を徹底させ、私たちの人生をどうしたいか? 私たちは何者か?私は自分に忠実に生きているか? を考え抜くしかない(注:このポイントについては、あまり詳細が書かれていないので、「ライフストーリー法」などを使う必要がありそう)。

 


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