なにも言葉が浮かばない!ライターズブロックにハマったらどうすべきか?問題
ライターズ・ブロックってあるじゃないですか。いわゆる「文章が書けない!」って状態にハマることで、「なんも思いつかん!」とか「最後まで書けん!」とか、とにかくそれまで書けていた文章が、いきなり書けなくなるんですよ。
これは私もしょっちゅう体験してる現象で、そんなときはだいたい「ヒドい文章でもいいからとにかく書く」「いったん別の作業をしてから寝ちゃう」って対策を取ることが多め。このようなスランプ状態は、ライターだけでなく、言葉を使った仕事をしている人なら誰にでも起きる現象でしょう。
で、この問題はどうすりゃいいのかってことで、新たに「小脳を電気で刺激すれば言葉が出てくるぞ!」って報告(R)が出てて面白かったです。
これは健康な男女136人を対象にした実験で、みんなにtDCSをやったら、言葉を使う能力がアップするかを見たんだそうな。tDCSってのは頭皮に置いた電極から直流電流を流して脳を刺激する方法で、私が過去に試してみたTMS治療に近いテクノロジーです。一説には、「頭が良くなる!」とか「筋トレに役立つ!」とか言われてますが、いまんところよくわからんところだったりします(希望が持てる技術だとは思いますが)。
でもって、ここでどんなことをしているかと言いますと、
- tDCSで参加者の小脳を刺激する。
- その後で、みんなに単語の自由連想などをやってもらい、言語を使う能力に変化が出たかをチェックする(音楽 → 歌詞 → 歌手 …」みたいなやつ)
って感じになります。小脳を電気で活性化させたら、言葉がポンポン出てくるようになるかを調べたわけっすね。
すると、結果はチームの予想どおりで、tDCSで小脳刺激したときに、言葉がどんどん出てくるようになったそうな。ただし、tDCSで変化が出たのは自動的な連想の能力だけで、ゆっくり考えてうまい表現を生み出す能力は向上しなかったらしい。とにかく、瞬間的に複数の単語が出てくる能力が高まったわけですな。
研究チームいわく、
われわれのデータは、小脳が、学習によって確立され、強化/自動化された意味表象のシステムから連想情報を抽出することに関与していることを示しており、行動、認知、言語の自動化において、小脳が全般的な役割を担っていることを示している。
とのこと。だいぶわかりづらい表現ですが、もともと小脳ってのは、新しい状況へスムーズに適応したり、臨機応変に問題を解決できる能力と関係があると言われてきたんですよ。要するに、小脳は、創造性について重要な役割を果たしてまして、無関係に見えるアイデアとアイデアを結びつける能力を担当してるんですね。
うまく言語を扱う能力ってのは、かつては大脳皮質の働きだと思われてきたんですけど、実は流暢にちゃべったり書いたりする能力ってのは小脳も調整しているのではないかって証拠が出てきたのが1990年代後半ごろのこと。どうやら小脳ってのは、大脳と一緒に働いて、言語を使うような高次の認知プロセスを操ってるらしいんですよ。一般的に、文章を書いている人の多くは、脳内が情報でいっぱいになったり、正解の文章を考えすぎたときにライターズブロックが起きやすくなると言われてますが、これも小脳の働きがブロックされた結果がじゃないかと考えられております。
が、そうは言っても、私たち一般人が小脳を電気刺激するマシンを導入するわけにもいきませんので、なんか別の方法で小脳を刺激してやれば、ライターズブロックを克服できる可能性は高いと申せましょう。電気以外で小脳を刺激する方法としては、「バランス運動」がよく言われるんで、ヨガとかバランスボールあたりをやっておくと良さそう。その他にも、
-
目を閉じてその場で歩き、元の位置からできるだけズレないようにする。
- 片足立ちでしばらく同じ姿勢を保ってみる。
- 頭の上に本を置いたまま作業をしてみる。
などのやり方でも、なにがしかの効果を得られそうな気はしております。まぁその他にも、ただのウォーキングやジョギング、自転車、エリプティカルトレーナーなどでも小脳が刺激されるはずなんで、バランス運動がめんどうなら、ちょっと散歩に出るぐらいでも良いのかもしれませんが。とりあえず今後は、ライターズブロックにハマったら、中程度ぐらいの強度を持つバランス系の運動してみようかと思ったりしました。