抗生物質が腸を破壊してアレルギーや肥満を引き起こすかも
もちろん、抗生物質は感染症に対するすばらしい発明ではあるものの、一方では人体への副作用が大きいことも知られております。その代表例はリーキーガットで、抗生物質が腸内細菌にダメージをあたえた結果、消化不良の原因になっちゃうケースが多いのは有名な話。
で、近ごろ腸の専門誌「Gut」に出た論文(1)によれば、抗生物質には肥満やうつ病を引き起こす可能性もあるんだそうな。
これはマウスを対象にメジャーな抗生物質の副作用をチェックした実験で、数日ほど適量を服用しただけで、
- 肥満
- ぜん息
- アレルギー
- 不眠
- うつ病
- 敗血症
といった症状があわれてきたとか。いずれも免疫系と炎症に関する疾患ですね。
この理由について研究者いわく、
これまで、抗生物質は腸内細菌の数を激減させて、重要な免疫機能に大ダメージをあたえるだけだと思われてきた。
しかし、これは全体の被害の3分の1にしかすぎない。実は、抗生物質は、腸の上皮細胞(腸のメインの機能をになう細胞)を殺すのだ。
上皮細胞は、栄養素の吸収や免疫機能など、さまざまな生物学的な機能を持っている。ヒトの健康にとっては非常に重要な器官だ。
とのこと。腸内細菌どころか、腸の細胞を死滅させているわけですね。もちろん、これは動物実験の段階ではありますが、抗生物質が腸にあたえる悪影響はかなり昔から知られてまして、やはり気をつけるにこしたことはなさげ。ちょっとした風邪でも抗生物質が処方されがちな日本では、とくに注意したほうがいいかもですね。
ちなみに、抗生物質のほかにも、非ステロイド性抗炎症薬(アスピリンとかイブプロフェンとかインドメタシンとか)も腸へのダメージが大きい物質なんで、よほど症状が苦しいとき以外はなるべくひかえるのが吉であります。
credit: theglobalpanorama via FindCC