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「朝の運動 vs 夜の運動、どっちが健康に良いのか?」問題をガッツリ掘り下げてみましょう

 
 

「朝に運動したほうが脂肪が燃える!」

「いやいや、夜のほうが代謝が高くなるって聞いたぞ」

「でもホルモン的には…(以下略)」

 

みたいな「運動のベストなタイミングはいつなのか?」という論争を、誰もがいちどは耳にしたことがあるでしょう。パーソナルトレーナーさんやフィットネス雑誌などの界隈では、昔からけっこう熱く語られてたりする話であります。

 

個人的には、まぁ午後に代謝が上がるのは事実だし、理想を言えば夕方ぐらいが良いのかなーみたいに思ってたんですが、新しい実験(R)では、

 

  • 「運動は朝か夜か」なんて議論しても意味ない!
  • 何時に運動しようが、そんなもんほぼ誤差だ!

 

と思わせる結論になってましたんで、そのへんをチェックしてみましょう。

 

これはオーストラリアの研究チームが行ったRCTで、「朝 vs 夜の運動で、減量効果に差が出るのか?」を検証したものです。参加者は肥満ぎみで運動不足な男女100名で、実験では全体を2つのグループにわけてます。

 

  1. 朝グループ(AMEx) → 6:00〜9:00に運動する
  2. 夜グループ(PMEx) → 16:00〜19:00に運動する

 

運動の時間は週250分で、それぞれが自分の体力に合わせた有酸素運動を行ったそうな(ウォーキングとか)。実験の期間は12週間で、最後にみんなの体重、VO₂max(心肺機能)、食事内容、血糖、脂質プロファイルなどを測定したところ、結果はこんな感じになりました。

 

指標朝グループ夜グループ
体重の減少量(平均)−2.7kg−3.1kg
心肺機能(VO₂max)の改善+4.7+4.2
食事量の変化(12週後)−3974kJ−3165kJ

 

ってことで、ご覧のとおり2グループの誤差はわずかで、「朝の方が痩せる」「夜の方が効率がいい」みたいな明確な優位性は見られなかったわけですね。

 

過去にも似た研究はたくさんあったんだけど、今回の研究はそれらと比べてもかなり丁寧でして、

 

  • 週250分の運動(十分な量)
  • 食事摂取量の記録(24時間聞き取り)
  • 心肺機能・体組成のDXA測定
  • 6ヶ月フォローアップあり

 

ってとこまでやってることを考えると、けっこう信頼度は高めだと言えるでしょう。 それでも「朝の運動」と「夜の運動」に差が出なかった理由を考えてみると、おそらく以下のようなポイントが大事になるんでしょう。

 

  • 朝でも夜でも、「やるかどうか」が最重要
  • 運動のタイミングよりも、総消費カロリーや食事内容のほうが重要度はかなり高い。
  • 体内時計はある程度「訓練で順応」できる

 

ちなみに、この研究チームは「夜のほうが食欲が抑えにくいから太る」みたいな説についても分析を行っているんですが、こちらでも明確な差にはならなかったとのこと。

 

ちなみに、今回の結果は、より広範なデータを扱った2022年のメタ分析(R)の結論とも整合的でして、こちらの分析では、「朝と夜の運動効果の違い」を調べた過去の研究をいくつもまとめた上で、

 

  • 朝が有利とした研究:11本
  • 夜が有利とした研究:12本
  • 差がなかった研究:12本

 

って内訳になったと報告しております。まさにほぼ文字通り「三つどもえのドロー」みたいな感じっすね。

 

しかも、この分析では、運動のメリットとして、糖代謝、血中脂質、体組成、睡眠、メンタルヘルス、QOLなど多岐にわたる指標の改善を調べてまして、その上で

 

  • 私たちは、自分のライフスタイルに合った時間に運動するべきだ!

 

と結論づけております。やっぱそうなりますよねー。

 

ってことで、今回の研究や過去のメタ分析を踏まえてみますと、ここから得られる実践アドバイスは、いたってシンプルなものになります。

 

  • 「朝に運動できる人は朝やればいいし、夜しか無理な人は夜でOK」
  • それよりも重要なのは、 運動の頻度(週に何回)、運動の総時間(週に何分)、継続できるかどうか

 

つまり、「運動は朝にすべきか、それとも夜にすべきか?」って問いを立てても得られるものは少なく、「運動を続けること」そのもののパワーに比べれば取るに足らないんだってことです。話がめっちゃ簡単になっていいですね。

 

なので、ここまでチェックしてみた上で、私としては「一番やる気が出る時間帯に運動しようぜ!」と考えるのがベストって結論にいたりました。モチベーションがドン底にあるときに無理やり運動しても続かないし、怪我やストレスのもとになっちゃいますからねぇ。

 

そのため、「自分がいつも運動後にどう感じているか?」をチェックしておいて、

 

  • 朝に頭がスッキリするタイプ → 朝トレがハマる
  • 夜にストレス発散したいタイプ → 夜トレがハマる

 

みたいに判断してみれば良いのではないでしょうか。運動を習慣にするためには、自分のライフスタイルと性質に照らさないと判断できないんで。

 

いずれにせよ朝運動と夜運動のどちらも健康効果には大差がないし、有酸素運動を週250分以上こなせば時間帯の違いによるメリットは誤差レベルに落ち着くようなので、ぜひあなたのライフスタイルに合った「運動のタイミング」を探してみてくださいませ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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