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運動からの回復に抗酸化サプリは効くのか?を調べた最新メタ分析の結論

 
 

運動後の「疲労」や「筋肉痛」が抜けない!みたいに困った経験は誰にでもあるでしょう。健康体を目指して運動にはげむ人にとって、「どうすれば早く肉体を回復できるのか?」は永遠のテーマですからねぇ。

 

で、そこでよく話題になるのが「抗酸化サプリ」です。体の酸化を防ぐサプリを飲めば、運動のダメージをよりよく回復させられるんじゃないか?って考え方ですな。

 


ご存じのとおり、運動をすると、私たちの体内には活性酸素が生まれまして、これが「酸化ストレス」として体にダメージを与えるんですね。このストレスは、ほどほどのレベルなら逆に体の機能を高めてくれるんですが、もしも量が多くなりすぎると、

 

  • 筋肉や細胞がダメージを受ける
  • 回復が遅れる
  • トレーニングの質も下がる

 

みたいな問題を引き起こすんですね。そこで「活性酸素を減らす物質を取ればいいのでは?」という発想が生まれてくるわけです。

 

では、実際のところ、抗酸化サプリは運動のダメージに良いのかってことで、新たに出たメタ分析(R)が、そのあたりを掘り下げてくれておりました。

 

この研究は、過去に行われたRCTから26件(計505名分)のデータを厳選したもの。ビタミンCやE、ポリフェノール、コエンザイムQ10といった主要な抗酸化物質が運動後の酸化ストレスや筋損傷に効くのかを一挙に比較してくれたんですよ。

 

実験の参加者はプロ・アマ問わず、運動の種類もサッカー、ランニング、筋トレまでさまざま。そのうえで、すべてをひっくるめて大きな結論を出しております。

 

で、分析の結論を言いますと、抗酸化サプリを使うことにより、

 

  • 乳酸(疲労の指標)は有意に低下!
  • クレアチンキナーゼ(筋損傷の指標)も有意に低下!

 

って変化を得られるかもしれないんだそうな。つまり、抗酸化サプリを飲むと、「運動後の疲労」と「筋肉のダメージ」に対してはある程度の効果を発揮してくれるかもだぞ、と。

 

実際のデータを見てみますと、

 

  • 乳酸値はSMDで-1.25(けっこう大きめの効果)
  • クレアチンキナーゼはSMDで-1.88(これまた大きい)

 

といった数値が出てまして、これを見ても意外と効果を期待できそうな気がしてきますねぇ。

 

一方で、抗酸化サプリの効果が認められなかったカテゴリーもありまして、

 

  • 総抗酸化状態や、グルタチオンペルオキシダーゼといった抗酸化酵素
  • TBARS(脂質過酸化の指標)
  • SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)

 

みたいな「生体の抗酸化能力」そのものを示す指標には変化が起きなかったらしい、要するに、「疲労」と「筋損傷」には明らかな恩恵があるけど、「体全体の抗酸化バランス」や「炎症のマーカー」にはあまり影響が出ていないってことで、ここは判断が難しいっすねぇ。

 

また、この研究では、実験ごとの異質性がめちゃくちゃ大きいのも、判断を難しくしてるところではあります。どういうことかと言いますと、

 

  • 使う抗酸化物質の種類や量
  • 参加者の運動レベルや競技種目
  • 研究デザインや評価のタイミング

 

などによって、サプリの効果にかなりの“差”が出てるんですよ。これはサプリ研究ではありがちな話でして、「自分がどんな運動をするか? どのような体質か? どのような飲み方をするか?」によって、サプリの効果が激しく変わるってのは頭に入れておきたいところです(しかも、まだどのようにサプリを使えば効果が出るのかの答えは出てない)。

 

ちなみに、この結果を見て「疲労と回復に良さそうならサプリを使ってみるか!」と思った方もいるでしょうが、残念ながら現時点では、「これが最強!」と言い切れる抗酸化物質はわからないので、そこも注意してくださいませ。今回のメタ分析では、ビタミンCやE、アントシアニン、緑茶ポリフェノール、コエンザイムQ10、メラトニンなど幅広く検討されているんですが、「どれか一つが他より明らかに優れている」みたいなことは何もわかってないんで。

 

まあ、それもそのはずで、各抗酸化物質ごとのデータがバラバラだし、研究ごとに使っているサプリの種類や量、アスリートの競技・レベル、評価項目も統一されていないんで、「どのサプリがベストか?」みたいな問題には、いまはまだ答えようがないんですよね。なので、現状では「どの抗酸化サプリを使っても、筋損傷や疲労には一定の効果が見られるんだろうなー」ぐらいに思っといてください。

 

そんなわけで、運動に対する抗酸化サプリの効果については「ハマればデカい!」って感じですんで、いろいろと試して自分に合った使い方を模索するしかなさそうであります。その際は、「翌日の疲労感が軽くなったか?」「筋肉痛の引きが早かったか?」「パフォーマンスに違いが出たか?」などを指標にしつつ、自分の体の反応をチェックしていくしかないですかねぇ。もし私が試すとしたら、メラトニンやカテキンあたりから実験してみるかもしれません。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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