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「年を取ると太る」は本当か?──23年分のデータが語る“更年期の真実”

 
 

「年を取ると太る!」って話はよく耳にするところです。

 

「加齢で代謝が落ちると太る!」

「ホルモンバランスの崩れで筋肉が減る!」

「更年期になったら痩せられない!」

 

みたいな考え方で、たしかにSNSでも健康本でも「年を取ると体型が崩れる」といった説がまことしやかに語られていて、特に女性はホルモンの変動により、さらに体型が崩れやすいなどと言われることもしばしばなわけです。

 

では、この説はどこまで正しいかってことで、詳しい研究(R)の内容をチェックしてみましょう。

 

まず前提として、これはSWANというデータを使って分析を行った研究になります。こいつはアメリカで1996年から2019年まで、23年間にわたって女性の更年期を追い続けた大規模な縦断研究です。

 

参加者は1,463人で、日本人、中国人、黒人、白人、ヒスパニックを含む多民族で構成されているのがナイス。この研究では、年1回の定期検査で、以下のようなデータを集め続けたんだそうな。

 

  • 体組成(DXAでの脂肪量・筋量)
  • 骨密度
  • 心血管リスク(内臓脂肪、血圧、血糖など)
  • 更年期症状(ホットフラッシュ、不眠、抑うつなど)

 

要するに、「更年期になると体は本当に変わるのか?」を数値で検証してくれた研究になってまして、女性の方にはまことに参考になるんじゃないかと。

 

で、分析の結果がどうだったかと言いますと、こんな感じになりました。

 

結果①:たしかに脂肪は増えるが…

結論からいうと、年を取ると脂肪は少し増えやすくなるとのこと。具体的には、最終月経の約2年前から脂肪増加のペースが加速し、2年後まで続く……みたいなパターンが見られるらしい。

 

ただし、その後は安定しまして、その増加量は平均で年あたり+0.45kgほど。つまり、「更年期には脂肪が爆増する!」って主張はかなり誇張気味ってことですな。

 

ちなみに、平均的な参加者はほとんどが運動不足&食生活がいまいちな一般層なので、もしあなたが定期的に運動をやってて、ついでに質の高い食事をしていれば、状況はもっと好転するはずであります。

 

 

結果②:筋肉は…ほとんど減らない

「年を取ると筋肉が減る!」って話もよく耳にしますが、こちらも実は減少の幅はごくわずかだったらしい。具体的には、

 

  • 年間の筋量減少は平均で-0.06kg

  • 更年期トータルでも-0.2kg程度

 

ぐらいだったそうでして、「あれ?ホルモンが激減しても、この程度?」って感じじゃないでしょうか。研究チームいわく、「加齢による筋肉の減少は実際には運動不足の影響のほうが大きい」ってことでして、よくある「女性ホルモンが減って筋肉がゴッソリ…」みたいな主張は実態を反映していないっぽいですな。

 

 

結果③:更年期太りの“犯人”は?

ってことで、どうも加齢によるホルモン変動で体型が崩れるって話は、どうにも怪しい感じがするわけですが、では実際には何が問題なんでしょうか? この研究では、「更年期=自動的な太りやすさ」ではなく、以下のような生活要因が体型の崩れに直結していると報告しております。

 

  • 睡眠の質の低下(→食欲増&運動減)
  • ストレス増加(→感情的な食事、活動量の低下)
  • 日常的な活動量の減少(→筋肉刺激が減る)
  • 栄養状態の悪化(→筋肉合成力の低下)

 

ってことで、いずれも「年を取ったから代謝やホルモンの変化で太る」というよりは、年を取ってあんま動かなくなったり、ストレスが増えたり、体によくないものを食べるようになった人は太る、というめちゃくちゃ当たり前の結論になっております。要はライフスタイルの要因が大きいんじゃないかってことですな。

 

ちなみに、この研究は女性がメインなので「男性はどうなの?」という点についても気になるところですが、男性は加齢とともにテストステロンがじわじわ減少するんで、確かに筋肉の発達にはちょっと不利でしょうな。とはいえ、こちらも同様に「運動と食事でほとんどカバーできる」レベルの変化だと考えられてまして、生活習慣が崩れていなければ体組成も大崩れしないことが多め。つまり、男女問わず、結局はライフスタイルが決定的ってことになるんじゃないかと。

 

じゃあ、どうすればいいの?って話になりますが、犯人が「ライフスタイルの変化」にある以上、対策はめっちゃシンプルであります。

 

  • 年を取っても筋トレを続ける!

  • タンパク質を意識して摂る!

  • 質の高い食事を続けまくる!
  • 日常でよく歩く&動く習慣を切らさない!

 

かえすがえすも当たり前の話になりますが、結局のところ「脂肪を増やさずに筋肉を減らさない」ためにできることってのは、若かろうが年を取ろうが変わらないってことじゃないでしょうか(年を取ってからは、さらに意識してタンパク質の摂取量を増やす必要はありますが)。

 

加齢や更年期と聞くと、「もはや肉体の変化には逆らえない!」みたいなイメージを持ってしまいがちなんだけど、この研究を読むかぎりは、「加齢はあらためて生活習慣を見直すタイミングだ!」ぐらいに考えておくのが現実的だし、いたずらにヘコまずにすんでいいんじゃないでしょうか。

 

まあ、たしかに年を取ると脂肪と筋肉へのダメージはあるんだけど、それはあくまでほんのちょっとの話。たしかに変化はあるけど、日々の選択次第でぜんぜん防げる範囲ですんで、ぜひとも私と同世代の方々はがんばっていただければと願う次第です。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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