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FBIの交渉官が明かす「相手の行動を変える5つのステップ」


なんでも、FBIの交渉術について書かれた本が売れているんだそうで、どんなものかと以下のPDFを読んでみたら結構おもしろかったのでメモ。





参考:Get Advice on How to Turn Crisis Situations into Collaborative Negotiations


交渉を成功に導くための5ステップ

この文書によると、FBIの交渉術は「行動を変えるための5段階モデル」ってのが基本になってるらしい。 その5つのステップというのは、


  1. 傾聴:交渉の相手に「この人は、自分の話を聞いてくれている!」と意識させる
  2. 共感:相手の考え方が、どんな思考法や立場から来ているのかを理解する
  3. ラポール:自分が相手の立場を理解したことに対して、相手もこちらの立場を理解してくれている状態。ある種の信頼感ですかね
  4. 影響:いったん相手の信頼を得たら、問題を解決するための論理的な道すじを提案しても拒否されにくくなる
  5. 交渉成功!:こちらの提案を相手が飲んでくれた!


といった感じで、いろんな面で応用が効きそうな内容になっております。たいていの人は、いきなりステップ4の「影響」からスタートしちゃうんで、どうしても交渉が上手くいかなくなっちゃうらしい。わかるなぁ。

一番大事なのは“傾聴”

5つのステップのなかで、もっとも重要視されているのが最初の「傾聴」。ここさえ上手くいけば、あとは割とスムーズに進むケースが多いみたい。



で、「傾聴」の基本は以下の4つ。

  1.  絶対に相手の話に口を出しちゃいけないし、反論しても、評価をしてもいけない
  2.  短く「うん」「なるほど」と言いながら、定期的にうなずく
  3. 相手が言った内容を、コンパクトにまとめて「◯◯ですね」と伝える
  4.  手短かな質問をくり返して、相手に「聞いてますよ〜」という印象をあたえる


さらに、「傾聴」をスムーズに進める技術が以下の5つです。


  1.  オープンクエスチョンで質問する:「はい」か「いいえ」で答えられるような質問はしないってことですね。「どんな希望があるか教えてくれ?」とか「そこで何が起きたんですか?」とか、とにかく相手から新たな情報を引き出せるような質問を考えるのがポイント。
  2. 意識して間を作る:どんなに興奮した相手でも、自分が一方的にしゃべり続けるのは難しいもの。そこへ、上手く会話の間を作ると、交渉が前へ進みやすくなる。 
  3. あいづちはつねに短く:「はい」「なるほど」「わかります」などなど、短いあいづちのほうが、相手に「話を聞いてくれている」という印象をあたえることができる。
  4. 相手の言葉をマネる:相手が最後に言ったフレーズをくり返すだけで、あたかも親密になったかのような印象をあたえることができる。例えば、相手が「疲れてて気分がよくなかったんだ。最低な日だったんだ」と言ってきたら、「最低だったんだね」と言えばOK。
  5. 相手の感情に言葉をつけてあげる:「ずいぶん傷ついたんだね」とか「それは公平じゃないな」とか、相手が抱いた感情を表現して返してあげると、相手が「自分のことを理解してくれた!」と思いやすくなる。逆に「そんなことを考えちゃダメだよ」とか言うのは超逆効果。

 

まとめ

そんなわけで、FBIの交渉官が使う「相手の行動を変える5つのステップ」でした。「傾聴」は、心理療法の世界でも非常に重要なスキルと言われていて、わたしも気になっていたジャンルではあります。といっても、相手の感情に上手く言葉をつけるのって、簡単に言うけど凄い難しいですわなぁ…。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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