「女性差別が横行している!」と指摘するほど女性差別は拡大する
https://yuchrszk.blogspot.com/2014/12/blog-post_44.html
男女格差がよくないのは当たり前の話。とはいえ、近ごろ出た論文(1)によれば、シンプルに「女性差別が横行している!」と叫ぶだけでは効果がないどころか、逆に差別意識がデカくなっちゃうらしい。
これはセントルイス大学の研究で、被験者を2つのグループにわけて、一方には「女性差別は珍しい現象です」と伝えて、もう一方には「女性差別は一般的な現象です」と伝えたんですね。その後、全員に女性への認識をたずねたところ、「差別は一般的だ」と言われたグループは、女性は仕事に向いてないと答える確率が上がったそうな。
また、この論文では、経営者を対象にした実験も行われたんですが、やっぱり結果はおんなじ。「差別は一般的だ」と言われた経営者は、その後のアンケートで女性は採用したくないと答える確率が28%もアップしたらしい。
こういった現象が起きるのは、人間には無意識のうちに大勢に従っちゃう傾向があるから。つまり、
- 女性差別は一般的な現象だと知らされる
- 無意識に「女性差別は社会的に認められた現象だ」と変換される
- 女性差別は気にしなくてもいいという気分になる
- 女性差別が悪化する!
って心理が働くみたい。
なかなか難儀な話ですが、同論文にはちゃんと解決策も示されております。「女性差別は一般的な現象です」と伝えたあとで、「しかし、多くの人はその偏見を克服しようと頑張っています」と付け加えたところ、女性を採用したいと答える人の確率が28%アップしたというんですな。思わず大勢につきたくなっちゃう心理を利用したわけですね。
ちなみに、過去にも似たような話がありまして、学生の飲酒を減らすには、たんに「飲酒の事故が増えてます!」と注意するよりも、 「優秀な学生ほど酒を飲んでいない」と教えたほうが成功率は高かったとか(2)。これは、いろんな面で応用が効きそうなテクニックですねぇ。