「コーヒーは血糖値を上げるからダイエットには良くない」は本当か?
https://yuchrszk.blogspot.com/2015/03/blog-post_33.html
カフェインと血糖値に関するご質問をいただきました。
断食中にカフェインを飲むと脂肪が減るという記事
を読みましたが、カフェインは血糖値を上がりやすくするからダイエットにはよくないという話もあるようです。毎日4ー5杯はコーヒーを飲むので気になります。どう思われますでしょうか?
確かに、カフェインはインスリンの利きを悪くするので、 すきっ腹で飲んではいけないとの説もあるようです(1)。では、いつものようにデータを見ていきましょう。
間違いなくカフェインでインスリン抵抗性は高まる
まず、カフェインがインスリンの働きをジャマするのは間違いないところ。実際に、カフェインで高血糖&高インスリンの状態が起きることが何度も確認されております(2,3)。たとえば有名なのは2004年の実験(4)で、14人のコーヒー好きな糖尿病患者さんたちに、まずは250mgのカフェインをとってもらいまして、その後、さらに75gの糖質と125mgのカフェインを追加したんですね。
すると、空腹時のカフェインは、たいして血糖値とインスリンレベルに影響をあたえなかったのに、糖質をとってから2時間後だと血糖値が21%、インスリンが48%も上昇したんだとか。
この現象は糖尿病とは関係ない人でも確認されてまして、体重1kgあたり3mgのカフェインで、インスリン抵抗性が15%ほど悪化したとのデータが出ております(5)。カフェインは、確実にインスリンに悪影響をあたえるわけですね。
ただし、インスリン抵抗性と肥満の関係には根拠がない
とはいえ、よく糖質制限ダイエットの世界では「インスリン抵抗性こそデブの原因」などと言われますが、実際のところは、インスリンと肥満にはまず関係がないという説のほうが有力であります。たとえば、- スタンフォード大が女性を対象に行った実験(6)では、60日間のカロリー制限でインスリン抵抗性と減量の関係を調べたが、「インスリン抵抗性は肥満と関係なし」との結論。
- 14年にわたって行われた観察研究(7)でも、健康体の人にとってはインスリン抵抗性が肥満を引き起こす証拠は出なかった。
などなど。確かに、インスリンはエネルギーを細胞に送り込むホルモンですが、抵抗性が高まると筋肉の細胞が糖を取り込まなくなり、逆に脂肪を燃えやすくしちゃうみたい。スタンフォード大の研究者いわく、
細胞のインスリン抵抗性が高まると、体はエネルギーを普通に使うことができなくなる。そのために体重は減っていくのだ。
とのこと。さほど心配しないでもよさげですね。
長くコーヒーを飲み続けると、逆にインスリン抵抗性は改善する
また、おもしろいことに、確かにコーヒーは短期的にインスリン抵抗性を高めますが、長い目で見れば逆に糖尿病に効くってデータがけっこう多いんですよね。代表的なのは、2004年に行われたハーバード大の研究(11)。1,333人の糖尿病患者さんを調べたところ、1日に6杯のコーヒーを飲んでいた人は、症状が悪化するリスクが大幅に減っていたというんですね。
同じく2004年の研究(12)でも結果は同じで、およそ15,000名のフィンランド人のデータを統計処理したら、やはりコーヒーを飲む量が多い糖尿病患者さんほど症状が軽かったんだそうな。
ハーバード大の研究者いわく、
これはコーヒー好きには良いニュースだ。ただし、これはカフェインだけの効果ではなく、クロロゲン酸やマグネシウムといった成分も血糖のコントロールに役だっているのかもしれない。
とのこと。カフェインだけでなく、コーヒーのさまざまな成分が血糖値にとってメリットをもたらすんだ、と。
まとめ
そんなわけで、以上の話をまとめますと、- コーヒーで短期的にはインスリン抵抗性は悪化する
- ただし、そもそもインスリン抵抗性と肥満の関係には根拠がない
- さらに、長い目でみればコーヒーは血糖値を改善する効果がある
といったところ。そのほか、カフェインには代謝をあげる作用もありますし、中性脂肪のレベルを下げてくれるって働きもありますんで、どちらかと言えばコーヒーはダイエット飲料としての効果のほうが高いのではないかと思われます。ご参考になりましたでしょうか。
credit: Jlhopgood via FindCC