結局、砂糖は本当に太りやすいのか?問題
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こないだ「糖質と脂肪はどちらも同じように人を太らせる」って話を書いたところ、「でも砂糖はどうなの?精製された糖はやっぱり太りやすいのでは?」ってご質問をいくつかいただきましたんで、ちょっとまとめておきましょう。
砂糖そのものは特に太りやすいわけではない
この問題について調べる方法は、炭水化物と脂肪の太りやすさを比べた実験と同じ。摂取カロリーを同じにした状態で、砂糖の量だけを変えてみればいいわけですね。では、具体的な例を見てみましょう。- 肥満の女性を対象にした実験。1日の摂取カロリーを同じにした状態で、果糖の量だけをコントロールして8週間の経過をみたもの。すると、果糖が多かったグループも、果糖が少ないグループも体重の減り方はほぼ同じ(6.9+/-2% vs. 6.6+/-2%, p=0.785)。コレステロール値も同じように改善した。(2005年,1)
- 同じく肥満の女性を対象にした実験。1日の摂取カロリーを同じにした状態で、精製砂糖の量だけをコントロールして6週間の経過をみたもの。グループ1は総カロリーの43%が砂糖。グループ2は総カロリーの4%が砂糖。その結果、やっぱり体重の減り方はほぼ同じ。体脂肪の減少率も同じだった。(1997年,2)
いずれの実験でも、糖の量を大幅に変えておりますが、まったく痩せ方に違いは出ておりません。炭水化物と脂肪の太りやすさに差がないのと同じく、カロリーさえ同じ場合は、精製された糖質が特に太りやすいってことはないみたい。
糖質制限ダイエットの世界では、よく「砂糖は代謝を変えるから太る!」といった主張を見ますが、まずは間違いと言ってよさそうです。まぁ、そもそもインシュリンは肥満と関係がないってデータが多いので、当然の結果なのかもしれませんが。
本当に問題なのは砂糖の「とり方」
というわけで、砂糖そのものに肥満を悪化させるパワーはないわけですが、ここで問題になってくるのが、糖質の「とり方」であります。というのも、ジュースや炭酸飲料の状態で砂糖をとった場合は、肥満のレベルが一気にはね上がるってがかなりあるんですね(3,4)。2006年の系統的レビュー(5)でも「砂糖入り飲料は太る!」って結論になってまして、このへんに関しては議論の余地がないところ。
これは、もちろん「砂糖は液体になると太りやすくなる」って意味ではなく、たんに「甘いドリンクは飲み過ぎてしまいがち」って話です。液体の状態だと、満足感が少ないわりにカロリーの摂取量だけが増えちゃうんですな。
未加工の状態で糖をとれば逆に痩せる
一方で、フルーツのように未加工の状態で糖質をとった場合は、太らないどころかダイエットの役に立つってデータが出ているのが面白いところ。たとえば、- 131人の肥満患者を対象にした実験。1日の摂取カロリーを同じにした状態で、低果糖の食事(1日20g以下)と、高果糖の食事(1日50-70g)をくらべたもの。どちらも果糖の摂取元はフルーツがメイン。すると、6週間後には、フルーツを多く食べたほうが体重が多く減った(4.19kg vs. 2.83kg)。(2011年,6)
- フルーツの摂取と体重の関係を調べたメタ解析では、果物を食べる量が多いほど体重が減り、肥満のリスクも下がる傾向が強くみられた。(2009年,7)
などなど。研究者いわく、
2つの実験がフルーツで体重が減ることを明らかにしており、5つの観察研究ではフルーツで肥満のリスクが減るとの結果が出ている。大半の科学的データが、フルーツの摂取量と肥満には逆の相関関係があることを示している。
とのこと。加工食品の状態で砂糖をとると、つい食べ過ぎに走ってしまいがちですが、果物の場合はカロリーあたりの満足度が高いので、食欲が暴走しないわけですね。
まとめ
そんなわけで、以上の話をまとめますと、- 砂糖そのものに人間を太らせる特別な要素はない
- ただし、加工食品や飲料として砂糖をとるのはNG
- 糖質の量が多くても、フルーツや根菜のように未加工の状態なら問題はない
って感じです。決して砂糖は悪者ではなく、要はパッケージングの問題なんですな。 結局、イエール大学のカッツ教授が言うとおり、「加工食品をとらないのがベスト」といういつもの結論に行き着いてしまいました。