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チェスと太極拳のチャンピオンが勧める最強のメンタル訓練は「インターバル・トレーニング」

Shuutoku

ジョッシュ・ウェイツキンの「習得への情熱」って本が超おもしろいです。著者は若き日に全米でチェスのチャンピオンに輝き、成人後は太極拳の世界選手権で金メダルをとったすごい人。わたしのようなアラフォー世代には、映画「ボビー・フィッシャーを探して」の主人公といえばわかりやすいかも。

 



自由に「ゾーン」に入るにはどうすればいいのか?

本書はジョッシュさんが編み出した学習法がくわしく描かれ、高度なパフォーマンスを発揮するためのテクが詰まった一冊になっております。トップアスリートが書いた本というと、えてして抽象的な内容になりがちですけども、ジョッシュさんはつねに科学的な態度を崩さないのがナイス。おかげで、わたしのような平民にも理解しやすくて助かりました。

 

 

その内容は多岐にわたりますが、なかでも「使える!」と思ったのが、「ゾーン」に入るための訓練法について述べた部分。ゾーンは目の前の作業に完全にのめり込んだ状態のことで、ほかにも「フロー」や「ピークエクスペリエンス」などと呼ばれております。「気づいたら2時間も経ってた!」みたいな経験は、誰にでも1度はあるんじゃないかと。

 

 

これは集中力が極度に高まったときに起きる現象で、ゾーンに入ったときこそ人間は最高のパフォーマンスを発揮できると言われてるんですな。わたしの場合は、マインドフルネス瞑想の最中に経験するケースが多いです。

 

当然、好きなときにゾーンに入れれば最高なんですが、そう簡単にはいかないのが困ったもの。ヒトの脳は外敵に備えて注意を散らすように設計されてるんで、そう簡単に集中状態には切り替われないんですな。


インターバル・トレーニングでいつでもゾーンに入る精神が身につく 

そこでジョッシュさんが勧めているのが、インターバル・トレーニングであります。ハードなエクササイズと短時間の休憩をくり返す方法で、具体的には以下をご参照ください。


ジョッシュさんによれば、インターバル・トレーニングで極度の興奮とリラックス状態をくり返すと、体が緊張からすばやくリカバリーできるようになり、どんな場面でもクリアな心理状態を作れるようになるんだそうな。もちろん、これは彼だけの思いつきではなく、ジム・レーヤーのような有名科学者が提唱している説らしい。

 

 

メンタルを鍛えるためのインターバル・トレーニング法

ジョッシュさんのトレーニング法は以下のとおり。

  1. エアロバイクの回転数を100以上にキープして10分間こぐ
  2. ペダルの負荷は、10分間で心拍数が170になるレベルに設定
  3. 10分が過ぎたら負荷をさげて、1分だけラクなペースでこぐ
  4. 再び高負荷でペダルをこぎ、心拍数を170まで上げて1分こぐ
  5. 再び1分の休憩をはさんだら、また高負荷でこぐ
  6. 以下、くり返し


みたいな感じ。この方法を続けて、少しずつ休息の時間を短くしていくのがコツらしい。なかなかハードですねぇ。


このトレーニングを始めてから、ジョッシュさんはチェスの対局中でもゾーンを楽にキープできるようになったとか。インターバル・トレーニングがメンタルの訓練にもなるとはなぁ。知らんかった。


インターバル・トレーニングの手法は何にでも使えるんで、自分が好きなエクササイズと組み合わせればOK。たとえば水泳なら、

  1. いったんギリギリまで泳ぐ
  2. 再び限界まで泳げるだけの体力が回復するまで待つ
  3. またギリギリまで泳ぐ


って作業をくり返して、少しずつリカバリータイムを短くしていけばいいわけですね。ちなみにジョッシュさんは、心肺トレーニングだけでなく筋トレもこの方法で行ってるとのこと。さっそく自分も導入してみるか…。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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