冷凍&カット野菜は栄養がない!発がん性がある!の嘘
パレオダイエットでは「カロリーの質が高い野菜をガンガン食べよう!」が大きなテーマのひとつ。そこでよく聞かれるのが「冷凍野菜やカット野菜は大丈夫ですか?」ってご質問であります。
確かに一部には冷凍野菜とカット野菜への不安感もあるようで、
- 栄養がまったく残ってないんじゃない?
- 消毒の薬品がヤバいんじゃない?
の2点が主な理由になってるっぽい。確かにありそうな話ですもんね。
加工野菜の栄養はどれぐらい減る?
というわけで、まずは栄養価の面から見てみましょう。確かに加工野菜は製造のときに水を使うんで、そのぶん栄養は減りやすくなります。特にビタミンCやB群といった水溶性の栄養素は減りがち。
もっとも1987年の論文(1)とかを見ますと、カット野菜の製造で減る栄養の量は、
- ビタミンC -30%
- ビタミンB群 -50%
ぐらいみたい。新鮮野菜を茹でた場合でも同じぐらいビタミンは減っちゃうんで、そこまでカット野菜が悪いってことはなさそう。少なくとも「まったく栄養が残ってない」って話は真に受けないほうがよさげ。
また、冷凍野菜の栄養については2007年にカリフォリニア大が行った調査(2)が有名どころ。冷凍野菜と新鮮野菜の栄養価をくらべたところ、
- 確かに冷凍野菜は新鮮野菜よりも水溶性ビタミンが減る
- でも、新鮮野菜も冷蔵庫に入れた瞬間からガンガン栄養は減る
- いっぽうで冷凍野菜は製造後に栄養が減るスピードが低い
って結果だったそうな。つまり、冷凍野菜は製造のあいだにビタミンが減っちゃうけど、そのぶん買ってからの保存が効くから、総合的に見たら引き分けなんじゃない?って話であります。もちろん新鮮野菜にはかなわないものの、冷凍野菜でも十分じゃないでしょうか。
カット野菜に発がん性があるって本当?
続いて安全の話を。加工野菜の製造過程では次亜硝酸塩ナトリウムが使われるケースがあるんですが(1)、こいつがクロロホルムを作り出しちゃうんですな。
クロロホルムには発がん性が疑われてまして、「加工野菜はヤバい!」と騒がれる原因になっております。
が、データを見てみると、どうもそのへんの心配は無用な感じ。たとえば次亜硝酸塩ソーダに10分間ほど野菜を漬け込んだ実験(3)によれば、
- 残留塩素は検出されなかった
- クロロホルム生成量はとても少ない(0.07ppm)
って結果だったんですね。
「少しでも発がん物質があるのは嫌だ!」ってご意見もありましょうが、実は水道水にも同じぐらいの量のクロロホルムが入ってますんで、すべてを避けるのは不可能かと思われます。
というか、そもそもクロロホルムの発がん性もまだハッキリしてなくて、国際がん研究機関のリスク分類だと「グループ2B」ぐらい(4)。これは、コーヒーと同じぐらいの危険性なんですな。
まとめ
そんなわけで、基本的に加工野菜を避ける理由はなし。もちろん、採りたての野菜を新鮮なうちに食べるのがベストではありますが、なにせ冷凍野菜は便利ですんで、ガンガン使っていけばいいんじゃないでしょうか?