プロテインを飲むと腎臓にダメージが!はどこまで本当なのか?
プロテインで腎臓にダメージが出る?
プロテインと腎臓に関するご質問をいただきました。
プロテインは腎臓に負担がかかるのでは? といううわさがあります.
これは血中のアミノ酸濃度が急上昇するのがいけないのではないかな~.. と仮説なのですが,考えています.
勉強不足なだけかもしれず,アミノ酸が急上昇しても問題ないデータがあるのかもしれませんが・・・
プロテインも,糖類と同じように,吸収を穏やかにしたほうが よいのかな,と思うのですが,どうお考えになりますか?.
とのこと。確かに「プロテインは腎臓に良くない!」って噂はありますねー。筋トレ系のサイトなどでよく見かける話かと思います。
こういった説が出てきたのは、腎臓病の患者さんがタンパク質を制限したら症状が改善するケースが多いから(1)。つまり、
- タンパク質を減らして腎臓が良くなる
- ならば、タンパク質は腎臓に負担をかけているに違いない!
といった考え方にもとづいております。ご存じのとおり、腎臓はタンパク質の代謝物をフィルタリングしてまして、この機能が狂うと電解質のバランスは崩れ、血液のペーハー値がおかしくなり、まともな血圧が維持できなくなっちゃうわけですね。
が、これはあくまで、元から腎臓の調子が悪い人を対象にしたデータ。腎臓が健康な人の場合は、「高タンパクでダメージが出た!」ってデータはいまのところないんですよ。
腎臓にダメージがない人なら高タンパクでも問題なし
この問題に関しては1990年代から多くの実験が行われてますが、現時点でもっとも信頼性が高いのは、2014年にコクラン共同計画が行った系統的レビュー(2)だと思います。過去に行われた腎臓とプロテインに関する30件の実験データを精査したんですね。
その結論は、
高タンパク食は、腎臓のフィルタリング速度を上げ、尿から排出される尿素やカルシウム、尿酸の量を増やす。これらの変化は高タンパク食による適応メカニズムだと考えられ、なんら病的な状態との関連性はない。
とのこと。つまり、確かにアミノ酸の急上昇で腎臓はいっぱい働き出すんだけど、これはカラダの正常な働きなので気にしなくてもいいよーってことです。
もちろん肥満などで腎臓に不調がある場合は別ですが、普通に摂取してるぶんには心配なさそう。基本的には「結局、タンパク質はどれだけ食べると危険なのか?」で示したラインを守っていただければよいかと思います。
ちなみに、2012年の論文(2)によれば、そもそもヒトの体には適切なタンパク質の上限を計るセンサーが備わってるんだとか。タンパク質の代謝で酵素が活性し、プロテインの摂取量が総カロリーの35%あたりに達したところで、「もうアミノ酸は十分です!」と脳へ警告がいくんだそうな。素晴らしいですねぇ。
さらに余談ですが、腎臓のダメージに関していえば、タンパク質よりも精製糖を気にしたほうがいいかも。というのも、腎臓の働きは肝臓と密接につながってるんで、ジャンクフードなどで肝機能が下がっちゃうと、自然に腎臓の負担も大きくなっていんですよね(3)。
以上の話をまとめると、
- 腎臓病の人、または腎臓が弱っている人じゃなければプロテインのダメージは気にしなくてもOK!
- 腎臓をいたわりたいなら精製糖の量(お菓子とか清涼飲料水とか)に気を配ったほうがベター
といった感じです。どうぞよしなに。