太るとやる気までなくなるのは何故なんだぜ
やる気がないから太るの?
「太るとやる気までなくなるのはなぜ?」ってあたりを調べた研究(1)がおもしろかったです。
これはセル誌に出た論文で、研究者が何を調べたかったかと言いますと、
運動が体に良いことは誰でも知っている。しかし、なぜ太った人は運動をしなくなるのかは、意外とわかっていない。
多くの人は、太った人が動かないのは、脂肪で体が重くなったからだと考えている。しかし、今回のデータによれば、理由は他にある。
みたいな感じ。一般的には「動かずにダラダラしてるような人が太るのだ!」と思われがちですが、実際は別のメカニズムが働いてるんじゃないのか、と。
マウスを太らせてドーパミンの働きをみた
くわしい原因を調べるために、研究者はまずマウスたちに18週間ほど高脂肪食をあたえたんですね。すると、4週間後にはマウスたちの動きがメキメキと鈍くなり、やがて走り回るモチベーションを失ってしまったらしい。人間と同じような現象が起きてますね。
続いて、研究者は太ったマウスのD-2タイプ受容体をチェックしたそうな。これは脳にあるドーパミンの受け皿でして、主にやる気の上げ下げを調整する機能を持っております。
ご存じのとおり、ドーパミンはモチベーションアップの働きを持ったホルモン。こいつが脳にシグナルを送ると、人間は一気にやる気がわくわけですね。
太ったマウスはドーパミンの効きが悪い
さて、太ったマウスをを調べて何がわかったというと、
- 太ったマウスの脳は、ドーパミンの受け皿が壊れていた!
- 普通体型のマウスは、ドーパミンの受け皿が正常だった
みたいな感じ。ざっくり言えば、太ったマウスの脳はドーパミンの効きが悪くなってたんですな。いわばドーパミン抵抗性が悪化した状態とでも申しますか。
これがどういうことかと言えば、
- やる気がないから太るのではない!太るからやる気がなくなるのだ!
ってことですね。太った人の脳では、やる気ホルモンが効きにくくなってるんですな。
まとめ
もちろん、これはマウス実験の段階ではありますが、ドーパミンの効きに関してはヒトとあんま変わらないので、恐らく人間の脳でも同じことが起きている可能性が大。このデータから教訓を得るならば、
- 太れば太るほどダイエットのモチベーションは下がっていくので注意
- というか「やる気」がわくのを待ってても事態は動かないので、「if-thenプランニング」などで「やる気がなくても行動する」クセをつけたほうが楽
ってあたりでしょうね。にしても、やっぱ体型も人間の行動を左右してるんですなぁ…。