「罵倒」は体と心の痛みをやわらげるアヘンのようなものである説
罵倒で心の痛みがやわらぐ?
「罵倒で体と心の痛みがやわらぐ!」って研究(1)がおもしろかったんでメモ。
これはマッセー大学の実験で、まずは70人の男女に過去の嫌なできごとを思い出してもらったらしい。具体的には、
- 仲間はずれにされた体験
- 会話で失敗したエピソード
- 孤独に悩んだ体験
- 恥をかいたときの話
みたいな感じで、コミュニケーションでストレスを覚えた場面がメインになっております。
罵倒で社会的なストレスが減った
その後、さらに全員を2つのグループにわけました。
- 「くそっ!」とか「ちくしょう!」みたいな罵倒語をさけぶ
- なにもしない
そのうえでみんなのストレスを調べたところ、
今回の実験により、社会的なストレスを受けた参加者たちは、罵倒の言葉をさけぶことで心理的な痛みが軽減することがわかった。
って結果だったそうな。どうやら、罵倒によって痛みの強さが下がり、ストレスから目をそらせるようになるらしい。
体の痛みと心の痛みは同じもの
これまでの研究では、仲間はずれや孤独といった社会的なストレスによって身体的な痛みが増し、同時に物理的な痛みに弱くなることもわかっている。
心理的な痛みと身体的な痛みは、生物学的に同じシステムを使っている。そのため、社会的なストレスが身体的な痛みとして感じられるのだ。
これは「痛みのオーバーラップ理論」と呼ばれてまして、要するに「心が痛い!」と感じたときは、本当に体も痛みを覚えているんだって話です。まさに心身相関ですな。
なぜ罵倒が心と体の痛みをやわらげるかは正確にわかっていない。ハッキリしているのは、決して罵倒がムダな行為ではないという点だ。
ってことなんで、いつもネットで他人に毒づいているような人は、無意識に心の痛みを緩和しようとしているのかもしれませんな。そう考えると、ネットの罵倒も切ない光景に見えてくるわけですが。
しかし、罵倒はあくまで応急処置でしかない。少しのストレスに対しても罵倒をくり返していると、やがてその効果は薄れていき、本当に必要なときに使えなくなってしまう。罵倒の癒やし効果を活用したいなら、普段はひかえておくべきだろう。
ドラッグみたいなもんで、罵倒の効果にも耐性がついちゃうんだ、と。確かに、罵倒中毒みたいな人っていますもんねぇ…。