魚のタンパク質のほうが鳥や牛よりもアンチエイジング効果は大きい
魚タンパク質って他のタンパク源と違うの?
魚のタンパク質に関するご質問をいただきました。
鈴木さんは「パレオダイエットの教科書」のなかで魚のタンパク質を推していますよね。これは体にいい油が一緒にとれるからでしょうか?それとも魚のタンパク質そのものが何か違うのでしょうか?
とのこと。魚のタンパク質には、鳥や牛とは違う別の効果があるのかって疑問ですね。これは、ページ数の都合で「パレオダイエットの教科書」(http://amzn.to/2ufACL8)に書けなかったポイントなので、ちょっとまとめておきます。
タラのプロテインで体脂肪は減るわ筋肉は増えるわ
で、まず結論から言っちゃうと、
- 魚のタンパク質には鳥や牛にないメリットがある…かも。しかし、そのメカニズムはわからない
って感じです。 どうも魚のタンパク質には、ほかのタンパク源にはない効果がありそうなんですよね。
たとえば、面白いのは2013年にベルゲン大学が行った実験(1)。太りぎみな男女34人を次の2グループにわけたんですね。
- タラから抽出したプロテインタブレットを1日3〜6g飲む
- ニセのタブレットを飲む
そのうえで8週間ほど普通に暮らしてもらったところ、
- タラのプロテインを飲んだグループは
- 体脂肪が1.6%減!(プラシーボ群は0.2%減)
- 筋肉が0.8%増!(プラシーボ群は0.3%増)
- 食後の血糖値も低下!
- インスリン抵抗性も改善!
- 体内の炎症(CRO)が改善!
- LDLコレステロールが低下!
って結果だったんですよ。とくに運動やカロリー制限をしていないのに体脂肪が減り、さらには筋肉が増え、しかも糖と脂肪の代謝まで改善しちゃったわけですね。なにこの至れりつくせりな効果。
タラをたくさん食べたらダイエットがはかどった
魚の凄さを示すデータは他にも多くて、2009年のアイスランド大学実験(2)では、肥満の男女126人を以下のようにわけております。
- 150gのタラを週に5回食べる
- 150gのタラを週に3回食べる
- 特に食べない
そのうえで普段の食事からカロリーを3割減らしたところ、8週間後には、
- タラをたくさん食べたグループほど
- 体重が減った(-5.9kg vs. -4.2kg)
- 体脂肪も減った(-4.0kg vs. -2.8kg)
- 血圧も改善
- 中性脂肪も改善
って結果だったそうな。カロリー制限の割合は同じでも、魚を食べたほうが体重の減り方が速かったわけですな。いずれも鳥や牛のタンパク質とは比べてはいないものの、ここまで良い変化が起きるのは魚に特有の現象っぽいんですよねぇ。
魚のタンパク質には抗炎症作用がある?
そのメカニズムはハッキリしてないんですけど、現時点では「魚のタンパク質には抗炎症作用があるからじゃない?」ってのが有力な仮説になっております。どういうことかというと、
- 魚のタンパク質で炎症が治まる(炎症についてくわしくは「あらゆる不調を引き起こす『慢性炎症』の話」をどうぞ)
- 筋肉のインスリン感受性がアップする
- 筋肉のエネルギー代謝がよくなる
- 筋肉が増えて体脂肪が減る!
みたいな流れです。魚のおかげで、筋肉の働きがよくなるせいじゃないかと考えられてるわけっすな。
もっとも、抗炎症作用が高い理由はよくわからなくて、
- ほかにないペプチドが存在している?
- 未知の生理活性物質が入ってる?
などと考えられております。最近はタウリンの重要性もよく聞くので、アミノ酸の構成は大きそうな気もしますね。
まとめ
そんなわけで、いまだ未知の部分が多いものの、やはり魚のタンパク質は積極的に摂っていただきたいところです。2013年の実験で使われた「1日6gの魚タンパク質」ってのは、
- ツナ缶なら20g
- サーモンなら22g
も食べれば十分なレベルなんで、毎日チョビチョビ食べるもよし、週に150gぐらいの魚をまとめて食べるもよしって感じ。これなら簡単にクリアできる量かと思いますのでー。