「笑い」が取れる人は周囲からどう思われるか?問題と、「笑い」の安全な運用法の話
「笑いが取れる人は人生がイージーモードだ!」みたいな話を以前に書いたとおり、ユーモアの感覚ってのはかなり大事なわけです。深く考えるまでもなく、他人を笑わすのが得意なら人気も出るでしょうし、ストレスも少なそうですもんね。
で、新しい論文(R)では、「ギャグセンスは仕事にどう影響するか?」って問題を調べてくれてておもしろかったです。
笑いが取れる人と取れない人
これはハーバードビジネススクールの研究で、3つの実験を通してユーモアの重要性をチェックしております。
実験1.ある会社にて
まず最初は、ペットの汚物処理を請け負う会社を舞台にした実験。まずは社員たちに「他の同僚を評価する文章を書いてください」とお願いして、そのデータをみんなに読んでもらったそうな。
当然、文章の内容にはバラつきがありまして、
- マジメバージョン:「彼の仕事ぶりはとても良いです。手際よく処理をこなして、周囲への気配りも忘れません」みたいな
- 笑いが入ってるバージョン:「最高のプロフェッショナルで、どんな汚い現場でも絶対にあせったりしません。もし汚物を処理したあとで、実はその家がペットを飼ってなかったと判明しても、彼は動じないでしょう」みたいな
といったパターンに分かれたんですが、もちろん印象は「笑いあり」のほうが格段に上。ネタが入った文章を書いた従業員のほうが、「自信があって能力も高いはずだ」と評価されたそうな。とりあえず、笑いが取れる人は有能と思われやすいことがわかった、と。
実験2.ラボにて#1
次は実験室に約300人の男女を集めて、架空のアルバイト面接シーンを描いたショートストーリーを読んでもらったそうな。このストーリーでは、面接の展開が2パターンに分かれてまして、
- バイト応募者が質問にギャグで返し、面接官に大ウケ
- バイト応募者が質問にギャグで返し、盛大にスベる
のようになっております。つまり、ギャグがスベった場合に、その人の能力はどう判断されるのかをチェックしたわけですな。恐ろしいですねぇ。
その結果は、こんな感じです。
- 面接官を笑かした応募者は「能力が高そうだ!」と思われた
- ギャグがスベった応募者は、特に能力が高いとも低いとも判断されなかった
ってことで、もし渾身のネタがスベった場合でも、能力の評価にはさほどの影響がないみたい。これは心強い結果ですね(笑)
実験3.ラボにて#2
最後もラボ実験でして、再び架空のアルバイト面接シーンを被験者に読んでもらっております。が、先の実験とは少し内容が違っていて、
- バイト応募者が質問にギャグで返し、面接官に大ウケ
- バイト応募者が質問に下ネタで返し、面接官ドン引き
ってパターンに分けたんですね。たんにネタがスベるだけじゃなくて、場に合わない冗談を言ったらどうなるか?ってのがポイントになっております。
すると、今度は別の結果が出まして、
- ドン引きするレベルのギャグは「ステータスが低いし能力も低い!」と判断される
だったそうな。まぁそうですよね。
まとめ
ってことで、以上の話をまとめると、
- 基本的にスベっても大した影響はないので、どんどん笑いは取りにいったほうが良い
- ただし相手が引くようなネタは死につながる
みたいになリましょう。つまり、「笑い」を正しく運用するには、
- 誰かを引かせる確率が高まるので、自分がよく知らないことについては笑いにしない。
- とりあえずセンシティブなネタは避ける(政治、人種、宗教、性別、年齢、見た目、収入などですな)
- 安全なネタからスタートして、少しずつ相手が受け入れてくれそうなラインを探る
といったリスクヘッジが必要なんだろうなーとか思った次第です。どうぞよしなに。