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ビタミンDとオメガ3のサプリで癌と心疾患は防げるの?問題に関する良いデータが出てましたよ

 

数あるサプリのなかでもメジャーなものといえばビタミンDオメガ3の2つ。個人的にはビタミンDは推奨しつつもオメガ3サプリはオススメしてないってスタンスですが、いちおうどちらも観察研究では良い結果が確認されてたりします。たとえば、

 

  • 84,688人を16年ほど調べたらオメガ3脂肪酸の消費量が多いひとほど心疾患になりにくかった(R)
  • 171件の試験をまとめたメタ分析では、オメガ3サプリを飲むと血圧が有意に改善した(R)
  • ビタミンDと癌にかんする先行研究を調べたレビューでは、ビタミンDが癌細胞の増殖を抑えるシグナルに関わっていることがわかった(R)

 

みたいな話がありまして、どちらも癌や心疾患リスクを下げるんじゃないか?と言われてきたんですよね。

 

 

ただし、これらのデータは被験者やサプリの用量が少なかったりして、いまいち信頼性が低かったのが実情。いっぽうでは「オメガ3やビタミンDは無意味!」ってデータも結構ありまして、判断がしづらい状況ではあったんですよね。

 

 

ってことで、新しいデータ(R)(R)は、「もっと大規模に2つのサプリが役に立つのかどうかを調べたよ!」みたいな内容になってて非常にいい感じでした。

 

 

これはどちらも二重盲検ランダム化比較試験で、

 

  • オメガ3サプリ単独で心疾患や癌に効くか?
  • ビタミンDサプリ単独で心疾患や癌に効くか?
  • オメガ3とビタミンDの組み合わせで心疾患や癌に効くか?

 

っていう3つのポイントを調べております。被験者の数は25,871人で健康状態には問題がない人だけを選んだそうな(年齢は50〜55歳が多め)。これだけ厳密なデザインと大量の被験者を使った実験は過去にないので、かなり信頼性は高いと申せましょう。

 

 

実験では、全体を4つのグループに分けております。

 

  1. ビタミンD+オメガ3を飲む
  2. ビタミンD+ニセのオメガ3を飲む
  3. ニセのビタミンD+オメガ3を飲む
  4. ニセのビタミンD+ニセのオメガ3を飲む

 

オメガ3は1日にEPAが460mgでDHAが380mg、ビタミンDは1日2,000IUが処方された模様。介入期間は3.8 〜 6.1年でして、期間の長さも素晴らしいですねー。



さて、フォローアップ期間にどんな変化が起きたかと言いますと、

 

  • ビタミンDを飲もうがオメガ3を飲もうが、発癌率や心疾患リスクには影響がなかった!

 

だったそうです。どっちも癌と心臓病を予防する効果はないっぽいようで、うーん残念。

 

 

ただし、セカンダリーエンドポイントには微妙な差が確認されていて、

 

  • オメガ3を飲んだグループは、心筋梗塞のハザード比が0.72 (95% CI 0.55-0.93)になってた!
  • ビタミンDを飲んだグループは、癌による死亡のハザード比が0.75 (95% CI 0.59-0.96)になってた!

 

といった感じになってて、やはりちょっとしたメリットはあるのかなーみたいな感じ。さらに、サブグループ分析でも良い結果が出てまして、

 

  • 普段からあまり魚を食べない人(週に1.5サービング以下)の場合は、オメガ3サプリで心疾患リスクが減る
  • BMIが25以下の人は、ビタミンDサプリを飲むと発がんリスクが下がる

 

だったそうです。つまり、以上の話をまとめますと、

 

  • 基本的にはビタミンDとオメガ3のサプリで癌や心疾患は予防できない!と考えたほうが無難
  • 魚を食べない人やBMIが標準の人なら意味があるかもだが、偽陽性の可能性もわりと高いので話半分ぐらいにとらえておくのが無難

 

といった感じになりましょう。やっぱサプリでは厳しい感じですかねぇ。

 

 

もっとも、いっぽうでは、

 

  • 魚を食べる人ほど心疾患リスクが少ない傾向は間違いなくある
  • 血中のビタミンD濃度が高い人ほど癌にかかりにくい傾向も確実に存在する

 

ってデータがあるのも間違いないところではありますんで、「サプリには頼らず、たくさん魚を食べて太陽の光を浴びようね!」という毎度の結論になりそうっすね。どうぞよしなに。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。