今週半ばの小ネタ:プチ断食で運動のモチベーションアップ?、国民の幸福度変化、肥満とメンタル
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
1日2食で運動のモチベーションが上がる?
まずは久留米大学の研究(R)で、「1日2食にしたほうがエクササイズがはかどるのでは?」って内容になっておりました。といってもまだマウス実験の段階なんで話半分にお読みいただければと思いますが、具体的にどんな研究だったかと言いますと、
- マウスたちを「好きな時間に好きなようにエサを食べる」と「1日2回だけ決まった時間にエサを食べる」の2グループに分ける
- どっちのグループがエクササイズの量が多かったかを調べる
って感じでエサのタイミングだけを調整したところ、
- どっちのグループのマウスも、食べたエサの量は変わらなかった
- が、1日2回だけエサを食べたマウスは運動の量が多かった
って結果だったんだそうな。うーん、おもしろい。
研究チームいわく、
この結果は、グレリンというホルモンによって促進される空腹感が、自発的にエクササイズを行うモチベーションを増加させる可能性を示している。
そのため、つねに同じ時間に食事をしたり、決まった時間にファスティングを行うといった行為は、加体重な人たちのエクササイズへのモチベーションを上げてくれる可能性がある。
とのこと。日中に一定の空腹期間を作ることでグレリンが増え、そのおかげでモチベーションが高まるのではないか、と。
もちろんマウス実験につきヒトへの働きは謎ですが、私のようにプチ断食をやってるような人間には気になるとこっすね。
過去200年の雑誌や本の単語を調べまくった研究の話
まずはワーウィック大学などの研究(R)で、「幸福の総量はいかに変化してきたか?」みたいな内容になっております。
具体的にどんな話かと言いますと、
- 1820年から世に出た本や新聞を収集
- そこに出てくる単語を調べまくる
- 一国の幸福感がどう変わってきたかを割り出す
みたいになってまして、「ベストセラーコード 」の発想をさらに推し進めた感じと言いますか、とにかくありそうでなかった内容っすね。これは楽しい研究ですなぁ。
といっても残念ながら日本のデータは入ってなくて、アメリカ、イギリス、イタリア、ドイツがメインになっております。そこで何がわかったかと言いますと、
- 国民所得の増加は国民幸福度の上昇と相関がある
- 寿命が1年伸びるのは、GDPが4.3%ほど増えるのと等しい効果を持つ
- 戦争の期間が1年減ると、GDPが30%ほど増えるのと等しい効果を持つ
みたいなことだったそうな。ちなみにアメリカがもっとも不幸だったのは1970年代のベトナム戦争期だったそうで、なんだか納得してしまうわけです。
まぁ時代によって言葉の意味ってコロコロ変わるので、この手の研究は解釈がしづらいとこもあるんですけど、誰か日本でも似たようなリサーチをしてくれたら楽しそうだなぁ……とか思いました。
肥満とメンタルは一緒に治療をした方がいいのでは?問題
まずはイリノイ大学などの研究(R)で、「肥満とメンタルは一緒に治療をした方がいいのでは?」ってな内容になっております。というのも、肥満と鬱病って同時に起きることが多いので、昔から個別じゃなくてまとめて対処した方がいいんじゃない?と考えられてきたんですよ(本論だと鬱病の患者さんの40%は肥満にも悩んでるケースが多いらしい)。
この研究は鬱と不安に苦しむ409人の患者さんを対象にしたもので、全体を半分に分けてます。
- お医者さんのもとで普段どおりの治療を続ける(コントロール群)
- 9回のカウンセリングセッションを設けて、健康に痩せる手法も合わせて伝授
といった感じで12カ月の介入を行ったところ、
- カウンセリングを受けたグループは、だいたい3kgほど余分に体重が減り、抑うつスコア( Depression Symptom Checklist を使用)も1.5 ± 0.5 から 1.1 ± 1.0ポイントに改善(コントロール群には変化なし)
だったそうな。研究チームいわく、
このトライアルにおける結果はそこそこといったところで、まだ実際の治療現場で意味があるかはわからない。また、12カ月の期間しか介入していないのも問題だ。
もしかしたら、今回の結果が重要な効果を生む可能性はあるが、長期の働きはよくわからない。
とのこと。確かに介入の結果としては「まずまず」といったレベルなんですが、肥満が健康に良くないのは確実でしょうから、かかりつけ医の方に相談してみるのも吉でしょう。