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大腸がんのリスクが「ベルベリン」でガッツリ下がるかもだ!という2年の長期研究の話

 

 

  

ベルベリンってサプリのお話です。キハダなどの植物にふくまれる成分で、黄連解毒湯みたいな漢方にも入ってたりします。

 

 

昔から動物実験では「抗癌作用がある!」なんて報告がありまして、腫瘍ができるのをブロックするんじゃないかと考えられてるのがおもしろいところ。そのほかにも、ヒトを対象にした試験(R)では糖尿病や高血圧に効くかも?とも言われていて、ちょっと見込みがある成分なんすよ。

 

 

でもって、新しいデータ(R)は「ベルベリンで大腸がんリスクが下がるかも!」って話になっておりました。大腸がんと言えば肺がんに続くレベルで患者数が多い病気で、40代ぐらいから増加しますんで45歳を間近にひかえた私としても気になるところです。

 

 

これは18〜75歳(平均57歳)の参加者891人を対象にしたRCTで、ベルベリンが大腸がんリスクに与える影響を2年にわたって追っかけたもの。過去に大腸の腺腫を取り除く手術をしたことがあり、再発が考えられる人だけを選んだそうな。

 

実験では参加者を2つのグループにわけて、

 

  1. 0.3 gのベルベリンを1日2回飲む
  2. プラセボサプリを1日2回飲む

 

といった介入を続けて2年後の大腸腺腫の再発率と、すべてのポリープ、腸内フローラの変化などを見ております。

 

 

でもって、ざっとした結論を見てみると、

 

  • ベルベリンを1日0.6g飲んだグループは、大腸腺腫が再発する相対リスクがプラセボと比べて23%低下した
  • ベルベリンを飲んだ参加者429人のうち36%が腺腫を発症したのに対し、プラセボの参加者462人のうち再発したのは47%だった
  • ポリープのリスクも同じような結果だった(相対リスクが23%減)
  • 性別で見ると、ベルベリンは女性のほうが効きやすいのかもしれない (p=0.07)
  • ベルベリンの効果については、BMIや大腸腺腫のレベルなどに影響されなかった

 

ってことで、予想どおりベルベリンは大腸がんのリスクを下げる可能性があるみたい。副作用もほぼ見られなかったようで(一部に便秘があったそうですが)、よろしい話ですな。

 

 

いちおう今回の研究は「ベルベリンが大腸がんリスクに効くかどうか?」を調べた初めての試験なんで、もうちょい別の結果も見てみたいのが正直なところではあります。が、この実験はデザインもちゃんとしてるし、サンプルサイズも大きいし、2年も追跡してるし、参加者も脱落してないしで、証拠としてはわりと強力な部類ではないかと。

 

 

 

ちなみに、ベルベリンがなんで大腸がんリスクを下げるのかはまだ謎な部分が多くて、「抗炎症や抗酸化の機能がるあから、そのせいで良い効果が出てるのかなー?」ぐらいの感じで言われております。ほかにもAMPKに効いてるって考え方もありますけど、これもまた謎の段階っすね。

 

 

まぁいずれにせよベルベリンがおもしろい成分なのは間違いなくて、2015年のメタ分析(R)でも「糖尿病や高血圧にも効くかも?」みたいなことは言われてますんで、気になる方は試すのもいいかもですねー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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