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新しい低糖質食?「サイクリング・ケトジェニック」なら筋トレへの悪影響は出ないのか?問題


  

このブログでは、ケトジェニックダイエットについて過去に何度か書いております。ケトジェニックは簡単に言えば超低糖質ダイエットみたいなもんで、限界まで炭水化物を減らしてケトン体を作るタイプの食事法です。

 

 

私の個人的な印象としては、

 

  1. とりあえずケトン体で食欲が減る可能性は高いので、食欲の暴走に困っている人にはいいかも
  2. しかし、その減量効果については、長期的に他のダイエットと比べて優位性があるとは思えない

 

ぐらいの感じでして、まぁ炭水化物が嫌いな人は試してもいいんじゃないの?とは思ってます。

 

 

ただ、個人的にケトジェニックをやらないのは、過去に「筋肉の増加に悪影響が!」って報告がちらほら出てるからでして、糖質を取らないとどうしてもトレーニングのパフォーマンスが下がるんで、そのぶん良い結果が出にくいみたいなんですよね。これはなかなか困ったもんです。

 

 

が、そこでケト界隈で言われるようになったのが「サイクリング・ケトジェニック」みたいな発想であります。名前のとおり一定期間だけ糖質を摂取する時期としない時期を組み合わせる手法のことでして、これならトレーニングのパフォーマンスも落ちないのではないか?と予想されるわけです。考えましたねぇ。

 

 

では「サイクリングケト」の効果やいかに?ってことで、18〜30歳の男性25人を対象に検証が行われておりました(R)。実験では全体を2つのグループに分けてまして、

 

  1. サイクリングケト:平日に低糖質ダイエットをして(糖質1日30gまで+1.6g/kgのタンパク質を摂取)、週末に高炭水化物食(糖質を筋肉1kgあたり8~10g、タンパク質15%、脂肪15%)

  2. バランス食:15%のタンパク質、55%の糖質、30%の脂肪で構成される食事を続ける

 

って感じで8週間の変化をチェックしたらしい。ちなみに、そのほかのポイントとしては、

 

  • 参加者はみんな1年以上の筋トレ歴がある
  • 両グループとも1 日あたり500calほど摂取量を減らすように指示された
  • 両グループとも週に3日の筋トレを行い、1日は胸(ベンチプレス)、1日は脚(レッグプレス)、3日目は背中(ラットプルダウン)を中心に実践した。各トレーニングセッションは60分だった

 

といったあたりがございますね。筋トレのセット数とか休息とか細かいことは書いてなかったですが、とりあえず限界まで追い込むタイプのトレーニングをしたらしい。

 

 

でもって、実験の前後で体重、体組成、ケトン体、筋力などの変化をチェックしたら、結果は以下のようになりました。

 

▼体型まわり

  • 両グループとも同じように体重が減少した(-4.6kg vs -4.5kg)
  • 脂肪量と体脂肪率の変化も有意差はなかったが、平均値はバランス食に有利で、平均脂肪量はサイクリングケトが1.9kg、バランス食が4kg減少だった。体脂肪率はサイクリングケトが1.5、バランス食が3.7減少だった
  • 筋肉量についてはサイクリングケトが1.8kg減ったが、バランス食には筋肉の減少が見られなかった

 

▼パフォーマンスまわり

  • 1RMについては、サイクリングケトはベンチプレスもレッグプレスもラットプルも改善がなかったが、バランス食には有意な改善が見られた(ラットプルとレッグプレス)
  • 持久力についても、サイクリングケトには大きな違いがなかったが、バランス食では改善していた

 

ということで、全体的に見ると「あー、サイクリング方式でもケトジェニックは筋トレに向いてないのかな……」みたいな印象ですね。筋肉の減少とかパフォーマンスの改善でそこそこの差が出てますからねぇ。

 

 

もっとも、この実験はトレーニングの記述があいまいだし、筋肉のサイズを直接測定してないしで(BIAを使用)、タンパク質量にも一考の余地があるしで、決して「サイクリング・ケトジェニックが否定された!」と言えるレベルではないのでご注意ください。まー、個人的はやっぱ普通に糖質をとる食事を続けるつもりでありますが。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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