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2020年下半期に読んで良かった8冊の本

 

 

2020年上半期に読んで良かった17冊の本」に続いて、年末は「2020年下半期に読んで良かった8冊の本」です。

 

 

読書記録を見直してみたら、2019年は154冊ぐらいしか本を読んでなかったんですが(仕事の本は別として)、今年は411冊ぐらい読んでました。コロナの引きこもり期間で趣味の読書がブーストした感じっすね。

 

 

では、下半期の良かった本をどうぞー。

 

 

 

あとで効いてくる本

まずは、すぐに何かに役立つわけじゃないけど、とりあえず読んでおくと脳内OSのアップデートになりそうな本から。

 

 

情動はこうしてつくられる――脳の隠れた働きと構成主義的情動理論

 

ヒトが味わう経験はどうやって作られるの?を深掘りした本で、「感情は外部の刺激に反応して作れられる……わけではない!」っていう最新の知見を細かく説明してくれてます。

 

決して簡単な内容ではないものの、「人間を振り回す感情の正体とは? そして、その感情とうまく付き合うには?」ってな大問題に対するヒントが散りばめられまくってて素晴らしいんですよねー。

 

 

 

ブループリント:「よい未来」を築くための進化論と人類史

 

「現代もいろんな問題はあるけどさぁ、もともと人間は『善き本質』を持ってるんだから未来は明るいよ!」みたいな本。といってもシンプルな性善説ではなくて、「人間は進化の過程で備わった『善の機能』があるんだから、『悪の機能』に負けずに、こいつをちゃんと活用していこうぜ!」と主張していく、ある意味で壮大なライフハック本になってます。

 

まー、その結論を導くためのエピソードが膨大で、つい本筋を見失いがちになりがちな一冊なんですけど、「人間の善の機能をひたすら解説していく本」ってゴールを念頭に置いとけば読みやすくなるんじゃないでしょうか。

 

 

 

即効性が高い本

次は、上記2冊よりも「読んですぐに使える本」です。

 

 

思考力改善ドリル: 批判的思考から科学的思考へ

 

いくつかの設問を解きながらクリティカル・シンキングの能力を養おう!みたいな本。クリティカル・シンキング系の本はいろいろありますが、「バイアスによって正しい判断がゆがむ問題」から説き起こしてくれるものって意外となかった気がしますね。あと、個人的には勁草書房さんらしからぬタイトルの付け方に驚きました(笑

 

クリティカル・シンキングのみならず、「科学的な思考とはよく言うけど、要するにどういうことを言ってるの?」みたいなとこまで教えてくれるのがありがたいところ。ていねいに全問を解いていくことをおすすめします。

 

 

行動を変えるデザイン

 

行動経済学の知見をプロダクトデザインに活かそう!みたいな本。似たような本はいくつかあるんですけど、

 

  • ちゃんと定評のある最新の知見が使われてる
  • 知見を実践に落とし込むやり方がうまい

 

ってのがありまして、類書のなかでは一番使えるんじゃないかと。基本的にはWebサービスに特化した内容ですけど、どんな仕事にも使えるはず。

 

 

 

エンタメ系

続いて、とにかくグイグイ読まされた2冊です。

 

 

デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

 

有名な登山家さんの評伝。恥ずかしながら主人公の栗城史多さんをまったく知らなかったし、登山の知識もゼロだったんですが、いざ読んでみると「自己承認のブースト問題」っていう現代的な問題とがっぷり四つに取り組んでて、一晩で読んでしまいました。自己承認の問題で歯止めが効かなくなることって誰にでもあるよなぁ……と、自分に引き付けながら読むと超怖い。

 

 

三体Ⅱ 黒暗森林

 

オバマ絶賛!の中国SF。正直、1作目はイマイチ乗れなかったんですけど(異星人の描き方が超普通だったので)、2作目は「妄想の美少女が現実になって世界を救う!」みたいな童貞ノリ全開のストーリーで、笑いつつもガンガン読まされました。振り切った壮大さがいいですねぇ。

 

 

 

良かった漫画

今年から漫画をだいぶ読むようになりまして、下半期は以下が良い感じでした。

 

 

チェンソーマン

 

言わずと知れた「このマンガがすごい」トップの作品。実際読んでみると、ストーリー展開も描写も世界のエンタメでも最先端なことをやっててビビらされます。あと作者さんの映画の趣味が最高ですね(笑

 

 

スキップとローファー

 

「多様性が大事!」だとは頭でわかっていても、言葉で言われただけじゃイマイチ響かないもの。その点で本作は、学園生活を舞台に「多様性」をめちゃくちゃうまく形で描いてて最高っすね。今年の傑作映画「ブックスマート」とも通じる秀作じゃないかと。

 

 

 

手前味噌

あと、今年は私の単著はなかったんですけど、派生した商品が出てますんで合わせてお願いします!

 

ヤバい集中力ノート

 

 

まんがでわかる 最高の体調

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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