【質問】自分がナルシストでサイコパスだったらどうすればいいですか?
こんなご質問をいただきました。
もし自分自身がナルシストやサイコパスだった場合、どうすればその性格を薄くできますか?
この前、「「信頼できない人」を一瞬で見分ける方法はないですか?」みたいな話を書きまして、そこで「結局はナルシストやサイコパスが問題なんだよねー」みたいな話を書いたんですよ。
それでは、ナルシストやサイコパスを避けるのが良いのは当然として、もし自分がそうだったらどうすればいいのか?と。確かに、ナルシストやサイコパスはゼロイチの概念じゃないので、両方の性質を持ち合わせている人は多かれ少なかれいるでしょうしね。このような性格特性を持っていると、生産性が低くなったり、仕事上の人間関係がぶっ壊れたり。犯罪に手を出しちゃったりする確率が高まるんで、自分のためにも周囲のためにも、改善できるならしておくに越したことはないんですよね。
ってことで、「自分がヤバい性格だったらどうすればいいのか?」って問題についてですが、幸いにも参考になるデータ(R)が出てましたのでご紹介しておきます。
この研究は、サイコパス、ナルシスト、マキャベリストという、いわゆるダークトライアドについて調べたもので、
- ダークトライアドの人って、そもそも自分は変わりたいと思っているの?
- ダークトライアドって変われるの?
ってポイントを掘り下げた内容になります。「改善」に焦点を当てたダークトライアド研究って意外と少ないので、こいつは参考になりますねー。
具体的には、平均年齢20歳の学生を約460人集めて、16週間の実験を実施。そのうえで、
みたいになってます。ここでいう改善トレーニングってのは、ビッグファイブでいう「協調性」(他人とうまくやる能力)を伸ばすためにデザインされたもので、だいたい以下のような感じになります。
- 初対面の人に笑顔を見せる。
- 何かを頼むときに「お願いします」「ありがとうございます」と言う。
- 誰かのためにドアを開けてあげる。
- 今日、誰かが自分にしてくれた良いことを書き出す。
- 人間関係で感謝していることのリストを5分間で書き出す。
- 寝る前に、その日に誰かがしてくれた親切なことと、それがどのように感じられたかを振り返ってみる。
- 普段は言わないような人に「ありがとう」と言う(例:講義をしてくれた先生、一緒に遊んでくれた友達など)。
- 誰かに褒められたら、「ありがとう」と声に出して言ってみる。
- 数分かけて、自分が好きな人(例:友人、家族)の良いところを振り返ってみる。
- “人間”が備えている良い側面を5分間かけて書き出してみる。
- 並んでいる人のコーヒーの代金を払う。
基本的にダークトライアドってのは自己のためだけに生きるので、協調性を伸ばすトレーニングによって変化を起こせるかもしれないわけっすね。
でもって、4カ月後でどんな結果が出たかといえば、こんな感じになります。
- ダークトライアドの特性が高い参加者は、みなすべての特性が減少した。このような現象は、「自分はダークトライアドのままでいいのだ!」と思っている人にも同じように確認された。
- といっても、ダークトライアドの点数が高いは、基本的に「ナルシシズムやサイコパシーを変えたくない!」と答え、「マキャベリズムを高めたい!」と考えている人が多かった
- ただし、ダークトライアドの特徴が高い人のなかには、より親切で慎ましく、思慮深い人間になりたいと思っているケースもあった
だったそうです。研究チームの読みどおり、定期的に協調性のトレーニングを行うことで、どんなタイプのダークトライアドにも一定の改善は見られるらしい。これは良いニュースですね。
しかし、いっぽうでダークトライアドの中には「変わりたいけど、変わりたくない!」といった複雑な気持ちもあるようで、このポイントについては、こんなことを言っておられます。
たとえば、マキャベリズムが高い人は、心の底では「親切な人になりたい」と思っているのかもしれない。しかし、自分のエゴのために他人をコントロールすることは、人生をうまく切り抜け、自分の欲しいものを手に入れるための有効な戦略であるとも感じている。
誰も自分が悪いとか邪悪だと思いたくはない。だから、人は自分の悪い行いを正当化する傾向がある。
他人から嫌われたい人はいないので、ダークトライアドとて自分を変えたいと思うのは自然なものの、いっぽうではナルシシスムやサイコパスなどの特性を役に立つ特性とも見なすので、実際に自分を変える行動には出にくいのではないか、と。うーん、いつも自信満々なダークトライアドにも、それなりに内面の葛藤はあるわけっすね。
いずれにせよ、16週間にトレーニングで、ダークトライアドにも変化が起きるってのは、なかなか良い話じゃないでしょうか。自分のダークな特性を変えたいって人は、意識してやってみるといいかもしれません。