今週半ばの小ネタ:細胞を若くする運動法、陰謀論を信じる年齢のピーク、スマホの使用状況チェックで人生の満足度が上がる
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
細胞を若くするための運動法はこれだ!みたいな話
このブログではいろんな運動法を推奨していますが、ざっくり分類すると、
- 低負荷でゆっくり行う有酸素運動
- 高負荷で短時間ですませる有酸素運動(HIIT)
- 筋トレ
の3種類になります。「このなかでどれがベストの運動なんですか?」とか聞かれることもありますけど、どのタイプの運動もそれぞれ独自の役割を持ってまして、「すべて組み合わせてやりましょう!」ってのがお答えになります。
といったところで、新しい研究(R)では「細胞をより長く若く保つことができる運動とは?」というポイントを深堀りしていて勉強になりました。
この研究は、124人の男女を26週間にわたって追跡調査したもので、みんなに1回45分間の運動を週に3回のペースで行うように指導しています。その際に、全体を4つのグループにわけてまして、
- 有酸素運動グループ(ひたすらランニングする)
- HIITグループ(4×4のインターバルプログラム)
- 筋トレグループ(8つのマシンを使って運動)
- コントロールグループ(全く運動しない)
って感じで運動を続けてもらい、26週間後に全員のテロメアがどうなったかを調べております。テロメアは「不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる」でも強調したポイントで、染色体の末端にある保護キャップみたいなものです。テロメアは歳を取るごとに縮むことが分かっていて、テロメアが長い高齢者は、短い高齢者ほど血管の老化が進行しないみたいなんですな。つまり、テロメアの長さは老化の指標になるわけです。
で、結果はこんな感じでした。
- コントロールグループと筋トレグループは、テロメアの長さに変化はなかった。
- 有酸素運動とHIITのグループは、テロメアの長さが「2倍」も伸びた。さらに、この2グループは、テロメラーゼの活性も高くなった。
ということで、有酸素運動とHIITはテロメアを伸ばす働きがあるのではないか、と。もちろん、これは「アンチエイジングに筋トレは無意味!」って話ではなく、あくまで有酸素運動はテロメアを伸ばし、これが血管の改善に役立つぞってことですんでご注意ください。
ちなみに、この研究では、運動の経験がない中高年の参加者でもテロメアの長さが伸びたらしいので、「テロメアは何歳からでも伸ばせる!」と言えそうであります。なので、まずは低負荷の有酸素運動からスタートして、慣れたらHIITも取り入れてみて、さらに筋トレに進んでいく……みたいな流れが良いのかもしれませんねー。
陰謀論を信じる年齢のピークは14歳だ!説
「陰謀論を信じる年齢は14歳がピーク!」ってデータ(R)が出ておりました。「この世を影で操る闇の組織が!」とか「闇のマインドコントロール集団が!」とか、そういった考え方にハマりやすいのは14歳ごろだよーって説でして、これが事実なら「中二病」って言葉は的を射抜きまくってることになりますね。
こちらは961人の若者に4つの実験を行ったテストで、11歳〜18歳までの年齢を対象に、それぞれに陰謀論の信じやすさをチェックしたもの。基本的には、研究チームが開発した「若者が陰謀論をどれだけ信じてるかテスト」をベースにしていて、おおよそ以下のような内容で構成されております。
- 本当の真実は、しばしば国民から秘密にされる
- 政府は重要な情報を意図的に国民から隠している
- 政府は人々を秘密裏に監視している
- 政府はしばしば証拠を変更したり、でっち上げたり、国民から隠したりする
- 政治団体の中には、社会にとってよくない秘密の計画を持っているものがある
- 病気のなかには、政府が兵器として使用するために作り出したものもある
- 政府はしばしばテロ攻撃について知っていて、それを意図的に起こしている
- 政府は、特定の集団に意図的に病気を蔓延させている
- 秘密の集団が、知らないうちに人々の心を支配している
- 秘密結社は、政治家やその他のリーダーをコントロールしている
- 秘密結社は、多くの政治的決定に影響を及ぼしている
- 宇宙人はすでに地球を訪れ、政府はこれを隠蔽している
- アメリカの「エリア51」には、地球に来た宇宙人を格納した秘密基地がある
- 政府は宇宙人の存在に関する証拠を隠している
私のような元ムーの愛読者にはたまらないリストですが、これらの文章に、どれぐらい賛同できるかを尋ねたんですね。当然、平均スコアが高いほど、陰謀論にハマりやすい傾向があるとみなされるわけです。
で、すべてのデータをまとめたところ、
- 14歳の年齢で陰謀論へのハマりやすさがピークになった!
って傾向が見られたんだそうな。そう言えば、私がムーを愛読してたのも中学生時代だったので、この結果には激しく納得と申しますか。
また、この研究からは他の知見も得られてまして、
- パラノイア(他人が自分を批判している!という考え方)や、世間への不信感が大きい若者ほど陰謀論にハマりやすい。
なんて報告も出てたりします。まー、14歳といえばホルモンバランスが乱れ始める時期ですし、そのせいで起きる不安やストレスが、陰謀論への傾倒の要因になってるのかもですな。言われてみれば、中学時代の自分もそんなもんだったかも。
スマホの使用状況を監視すると人生の満足度と生産性が上がるかもよー
「スマホをつい見て重要なことができない!」ってのは、誰にでもある話かと思います。幸いにも私はスマホはそこまで依存していないのですが、それはあくまで30代で初めてスマホを手にしたおっさんだからで、もし今わたしが20代だったらヤバかっただろうなーとか思っております。
そんな状況で、近ごろ発表された研究(R)の著者が、こんな結論を出しておられました。
携帯電話の使用量を記録し、その使用量に関する目標を設定した人は、目標を達成するにつれて生産性が向上し、生産性に満足する傾向がある。
これまでの研究で、目標設定はパフォーマンスへの期待を高める傾向があることが示されており、この理論がスマートフォンのスクリーンタイムにも当てはまる。
どんな目標を達成するにせよ、明確なゴールを決めて、そこまでの道筋を記録する作業が欠かせないのは間違いない話。それと同じ作業がスマホ依存の予防にも役立つのではないかってことですね。
この実験は、469人の男女を対象にしたもので、そのうち約半数に、スクリーンタイムの監視アプリをダウンロードするよう指示。そこから3週間にわたって追跡調査を行ったんだそうな。ここで使われたスクリーンタイム用アプリは、スマホの使用量、使用しているアプリ、さらには使用量全体の制限や目標を自分で設定できる機能があったとのことです。
すると、スマホの利用状況をチェックした参加者には、いろいろなメリットが確認されまして、
- 自分の仕事の生産性についての満足度が上がった
- スマホの使い方への満足度も上がった
だったそうです。スマホの利用状況を監視することで、スマホの使い方が適度なレベルに落ち着き、そのおかげでいろいろと満足度が高まったらしい。
研究チームいわく、
この結果は、スクリーンタイムを最小化するのではなく、最適化することが、ユーザーの生産性を高める可能性が高いことを示唆している。
この研究からすれば、システム開発者は、モバイル機器にセルフモニタリング機能を組み込むべきかもしれない。これらの機能は、質の高いスクリーンタイムを改善し、人間とデジタル技術の関係を強化する可能性がある。
とのこと。いまのiPhoneは、標準でスクリーンタイムの記録とアプリの機能制限ができるはずなので、スマホ依存にお悩みのかたは、今からすぐにやってみてもいいかもしれませんね。