照明の明るさで人の感情をコントロールする方法
人間の感情は明るさで簡単に変わる!ってデータがおもしろかったのでメモしておきます(R)。明るく晴れた日はなんとなく気分が良くなる人は多いだろうし、薄曇りの暗い日はなんとなく沈む人が多いだろうと思うわけですが、そこらへんの心理を掘り下げたわけですね。
で、この研究チームは、過去の調査をチェックした上で、「人は明るい光を暖かいと感じるし、暖かさって感情の強さを増すよねー」と結論づけたデータに注目。ここから「明るい光ってのは感情的な反応を強めるのでは?」って仮説を立て、それがどこまで正しいのかをチェックしてくれたんですよ。
これが、ざっくりどんな実験だったかと言いますと、
- 参加者を、いろんな明るさの部屋に置いて、それぞれの部屋の「暖かさ」レベルを評価してもらう。
- 次に、明るい部屋と薄暗い部屋のどちらかで、参加者に以下のことをしてもらう。
- マイルドからホットまで辛さを段階的に変えたチキン・ウィング・ソースを口にする。
- 研究チームが作った架空の人物について話、その人がどれぐらい攻撃的だと思うかを判断する。
- 3人の女性の写真を見てもらい、どれぐらいセクシーだと考えるかを判断する。
- ポジティブ、ネガティブ、中立的な言葉に対して、どんな感情を抱くかを判断する。
- 美味しいオレンジジュースと、まずい野菜ジュースを試飲する
って感じです。部屋の明るさによって、味覚や他人への判断がどれぐらい変わるかを見たわけですね。
その結果がどうだったかと言いますと、
- 周囲の照明が明るくなるほど、感情の強度が高まる。
って感じだったそうな。 つまり、明るい部屋にいるときは、 ポジティブな感情も、ネガティブな感情も、どちらも強く感じられるわけですな。
さらに詳しい結果をまとめておくと、
- 人は明るい場所にいると暖かく感じる。
- 照明が明るいと、人々はより辛い料理を注文する。
- 明るい照明の下に座っている参加者は、攻撃的な人を、さらに攻撃的だと判断しやすくする。
- 多くの人は、明るい部屋にいると、他人をより魅力的に感じる。
- 多くの人は、明るい照明の下では、肯定的な言葉にも否定的な言葉にも強く反応する。
みたいになります。とにかく、明るい環境ってのは、人間を敏感にさせるんだ、と。
研究チームいわく、
この研究は、うつ病を経験している人々にも示唆を与えるものである。
晴れた日には、人々は株式市場に対してより楽観的で、より高い幸福感を報告し、より親切な 態度をとる傾向がある。一方、暗く陰鬱な環境に長時間さらされると、季節性の感情障害になる可能性がある。
しかし、今回の研究では、晴れた日には、うつ病になりやすい人がより落ち込む 可能性が考えられる。
とのこと。 そう考えると、春の終わりから夏にかけて自殺率が高くなるのも、 明るい光によって、ネガティブな感情が強くなったせいかもしれませんな。
さらに、研究チーム曰く、
明るい光は、通常は熱と相関し、熱は感情の激しさと結びついている。この心理的な熱体験は、熱い感情システムをオンにし、あらゆる刺激に対する人の感情的反応を強める。
したがって、明るい光の下では、良いことはより良く感じられ、悪いことはより悪く感じられる。
とのこと。 明るい光の下にいると、人間はそれを脳内で暑さや熱と結びつけるため、それによって感情が高ぶりやすくなり、ポジティブもネガティブもブーストしやすくなるわけですな。
つまり、この研究から教訓を引き出すならば、
- 感情を抑えて冷静に考えるためには、暗めな部屋にいたほうがいいのかも?
- 多くの企業では、強い照明の下で意思決定が行われるので、もしかしたら照明を落としたらいいのでは?
- 明るい場所の方が人間は魅力的に見えやすいようなので、誰かからモテたいときは、暗い場所を避けた方が良いのかも?(ただし、もしかすると、すでに相手から不快に思われている人は、明るい場所だとさらに嫌われてしまうかも)
- 結婚のプロポーズに「イエス!」と答えてもらいたいときとか、関係が冷え切ったパートナーと再び仲良くしたいときは、晴れた日の正午に外に連れ出してみると良いのかも?
- 別居や離婚みたいに感情的になりやすい問題については、薄暗いバーの中でするのが良いのかも?
みたいになりましょうか。モテと照明の関係についてはまだ謎の面もありますが、 冷静な意思決定をしたいときには暗い部屋の方が向いている可能性が高そうですね。