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最強の勉強法が「小テスト」なのは間違いないが、その効果をさらに高めるにはどうすればいいの?

 


勉強の効率を上げる方法として、かなり確立されているのが「細かいテストをやる!」ってやつです。「小テスト」こそが最強の勉強法だってのは複数のデータで明らかにされていて、細かく模試をすることで知識と実践のギャップが強調され、学ぶべきポイントがわかりやすくなるんですよ。

 

まぁ細かいことはいろいろありますが、学んだことを最速で頭にたたき込みたいなら、小まめなテストは必須だとお考えください。新しい教材を学ぶための簡単なコツを求める方もおりましょうが、なんだかんだで細かいテストを行うのが最短って感じなんで。

 

でもって、新たに「テストの効能をさらに高めるにはどうすればいいのか?」を調べたデータ(R)が出てまして、非常に参考になりました。

 

これはアサバスカ大学などの研究で、2種類のテストを行ったもの。理系の学生を集めて、4週間にわたって以下のような実験を行ったそうな。

 

  1. 学生たちに6つの主要な学習テーマを与えて勉強させる。
  2. 3つのテーマを学んだかどうかについて、週明けにテストを行う。

 

って感じでテストの効能をチェックしたわけですが、その際に、テストの内容を2パターンに分けてます。

 

  • ブロックテストグループ:テストの問題が、学習テーマごとにブロック形式で出題される。つまり、この実験では学習テーマが3つあるので、テストの前半で「テーマ1」に関する問題がすべて出題され、中盤で「テーマ2」に関する問題がすべて出題され、終盤で「テーマ3」に関する問題がすべて出題された。

 

  • ランダムテストグループ:各テーマからランダムで問題が出題される。1問目がテーマ1に関する問題だったら、2問目にテーマ3の問題が続き、3問目は再びテーマ1から出題され、4問目でテーマ2の問題が出て……みたいな感じで、ひたすら順不同に問題が出される。

 

一方は勉強で学んだ順番に従って問題が出題され、もう一方は学んだ内容がデタラメな順に出題されるテストを用意したわけですね。自分で確認テストを行う時に、参考書の順番に従って問題を解いていくケースはよくありますから、ブロックテストが良いのか、それともランダムテストがいいのかってのは気になるところっすね。

 

でもって、最後の小テストから1ヵ月後、すべての生徒たちにすべての学習テーマが含まれる最終テストを実施。すると、結果は以下のようになりました。

 

  • どの生徒も、ブロック形式のテストを好んだ。

 

  • 毎週の小テストの成績は、ブロックテスト形式のほうが成績が良かった。これは、同じテーマの問題がまとまって出てきたほうが、脳から情報を取り出しやすいからだと思われる。

 

  • ところが、最終テストでは、ブロックテストを何度か受けたグループよりも、ランダムテストで学んだグループのほうが成績が良かった。

 

ということで、毎回の細かいテストではブロックテストが有利だったのに、最終的なチェックではランダムテストのほうが良いって結論であります。長期的にはランダムテストのほうが効果が高いようなので、毎度の確認テストは、いろんな学習テーマからランダムに問題をピックアップしたほうがよさそうっすね。

 

では、なんでランダムテストのほうが長期的に成績が良いのかと言いますと、

 

  • ランダム方式で出題されたほうが、脳から情報を引き出すのに苦労するから。

 

って感じになります。当然、ランダムのほうが記憶は思い出しづらいんで、そのぶんだけテスト中の苦痛は強くなり、ブロックテストのほうが好きになりやすいわけです。

 

結果、最初はランダムテストに苦手意識を持つことになるんだけど、脳への負荷が強かった分だけ学習の効果は高くなるわけっすね。最近では、学習には適度な不快感が必要だって話が増えてまして、実際に学習のパフォーマンスが促進することを示唆する研究が増えてますから、やはりテストの負荷は高い方がよいのだと言えましょう。

 

そう考えると、勉強したことを自分でテストするときは、学んだ内容を最初から順番に出題するんじゃなくて、過去に学んだ内容とかをミックスした問題を作ってみるのがよさそうっすね。お試しをー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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