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卵は1日に何個まで食べていいのか?問題を調べた2025年研究の話

 
 

「卵ってコレステロール高いし、あんまり食べない方がいいんじゃ……」みたいなイメージは根強いものの、昨今では「卵は(そんなに)気にしなくてOKだよー」とするデータが増えてきたのはご存じのとおり。最近は「卵は1日1個以上食べてもいいかもよ?」みたいな研究もあるんですよね。

 

では、最新の研究はどんなことを言ってるのかってことで、2025年のランダム化クロスオーバー試験(R)を見てみましょう。

 

この研究は、高コレステロールに悩む45人の成人を対象にしたもので、デザインはこんな感じになります。

 

  1. まず全員に、栄養士が用意したDASH食メニューを食べてもらう(野菜や果物が多く、塩分と脂質が控えめの心臓に優しい食事)

  2. そのうちの8週間は、「卵あり」バージョンの食事をしてもらう(1日2個の卵を摂取)

  3. 次の8週間は「卵なし」バージョンの食事をしてもらう(卵および卵製品を完全除去)

  4. 両期間の間には、8週間のウォッシュアウト期間を設定する(この期間は卵もなし)

 

こんな感じで、「同じ人に卵あり・なし両方の食事を経験してもらう」ことで、個人差を排除しながら比較できるようになっているわけですね。

 

その上で、いろんな健康の指標をチェックしてみたら、結果はこんな感じになりました。

 

  • 卵あり vs 卵なしで、健康のレベルに目立った差はなし!

 

だったそうな。もうちょい具体的に見てみると、

 

  • LDLコレステロール(悪玉):差なし
  • 血圧・体重:差なし
  • インスリン抵抗性(HOMA-IR)・CRP(炎症マーカー):差なし
  • 内皮機能(血管の柔軟性):差なし

 

要するに、「1日2個ずつの卵を食べても、体にはなんの問題も出ないのでは?」みたいな傾向が見て取れるわけですねー。

 

が、ここで「でも、卵ってコレステロールが多いのに、本当に大丈夫なの?」と心配になった方もおりましょう。たしかに、卵は1個あたり約186mgものコレステロールを含んでいるので、「卵を食べると血中LDLが上がっちゃう!」という心配が生まれるのも当然なわけです。

 

が、ここでポイントなのが、今回の研究では以下のような条件を整えているところです。

 

  • 食事全体のコレステロール量が低めに調整されている(平均167〜216mg/日)

  • 飽和脂肪と多価不飽和脂肪のバランスが良好(P:S比 = 1.0)

 

この「P:S比(多価脂肪酸 / 飽和脂肪酸の比率)」が高いと、コレステロールを多くとってもLDLが上がりにくいってのは、これまでの複数のメタ分析でも支持されているところですからね。つまり、何が言いたいのかと言いますと、「食事全体の質が良ければ、卵をいくら食べてもコレステロールに悪影響は見られないのでは?」と考えられるんですな。

 

ちなみに、こうなると「いくら卵に問題がないと言っても、卵によって健康効果が得られないなら、わざわざ毎日食べる意味あるの? 味が好きじゃなければ食べなくてもいいのでは?」みたいな指摘も出てくるかと思いますが、今回の研究では、卵を食べることで以下の栄養素が増えてたんだそうな。

 

  • コリン(細胞膜や脳に必須の栄養素):+51mg

  • セレン、ビタミンB12、D、ヨウ素、ルテインなど

 

ということなので、やはり普段の食事に卵を増やしてみるのには、それなりの意味があるんじゃないかと思うわけです。

 

もっとも、卵にも弱点はありまして、1日2個ずつ卵を増やした場合には、食物繊維の摂取量が1日あたり5g減少する傾向が見られたんだそうな。この点だけはちょっとマイナスですね(食物繊維はLDL低下にも効くので)。

 

また、この研究以外にも「健康的な食事 + 卵」の効果を調べた研究がありまして、「卵にそんな劇的な健康メリットはないよー」って報告も多いので、ここは注意したいところです。たとえば、

 

  • 2型糖尿病患者に「ヴィーガン食 + 卵」を6週間ほど食べてもらった実験では、LDLコレステロールは卵なしグループのみで軽く低下した(-6 mg/dL)(R)。ただし、統計的に有意な差は出ず。

 

  • メタボ患者に「ラクトベジ食 + 卵、または卵代替」を4週間ほど食べてもらった実験では、血圧・血糖・脂質に有意差はなかった(R)。

 

みたいな感じですね。つまり、「卵は悪でもないけど、劇的な善でもない」ってのが、今のところの落としどころになりそうっすね。

 

さらに余談ながら、ここまで短期的なデータを見てきましたが、「長い目で見たときにどうなの?」ってのを調べた研究もいくつかありまして、最近のコホート研究(R)では、次のような傾向も報告されております。

 

  • 卵の代わりにナッツを食べると、→ 心疾患・糖尿病・死亡リスクが15〜18%低下する
  • 卵の代わりに豆類を食べると、→ 心疾患・糖尿病・死亡リスクが10〜16%低下する
  • 卵の代わりに全粒穀物を食べると、→ 糖尿病リスクが11%低下する

 

ってことなんで、卵を無理に悪者扱いする必要はないけれど、「長生きしたいなら植物性食品に置き換えるのも手」って感じの結論になるんじゃないでしょうか。個人的には、卵が栄養の固まりなのは間違いないので、1日1〜2個ずつ食べるのは全然アリかなー、と。

 

ということで話をまとめると、

 

  • DASH食やプラントベースな食事の中に1日2個の卵を入れても、LDLや血圧には悪影響なし
  • 卵は栄養価は高いけど、食物繊維は減りがちなので注意
  • 健康や長寿を目指すなら、卵をナッツ・豆類・全粒穀物に置き換える選択肢もアリ

 

みたいになります。個人的には、「食事全体のバランスを最優先しつつ、卵もガンガン取り入れようぜ!」って立場ですかね。いずれにせよ「卵が悪いか良いか」よりも、「どんな食事に卵を加えるか」のほうが、ずっと大事なんで。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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