できるリーダーに必要な「たった2つの性格特性」はこれだ!みたいな研究の話
「チームのリーダーをやってるけど、なかなかうまくメンバーが動いてくれない……」みたいな問題にお悩みの方も少なくないでしょう。やる気がないわけじゃないんだけど、なんとなくチームがまとまらず、「もっとはっきり言わなきゃダメか?」「いや、優しく丁寧に接するべきか?」みたいなバランスの間で悩むパターンですね。
そんなリーダーシップの悩みに対して、新しく出た研究(R)がちょっと役立ちそうだったので、内容をチェックしておきましょう。
こいつはドイツのオスナブリュック大学の研究チームが手がけたもので、「リーダーとしても成功するのはどんな性格の人か?」という問題を調べたんですよ。ここで言う「性格」ってのは、このブログではおなじみのビッグファイブ(外向性・協調性・誠実性・神経症傾向・開放性)をベースにしてまして、研究のデザインはこんな感じになります。
- 被験者は平均24歳の大学生364人で、事前にみんなに性格テストを実施。
- Zoom上で4〜5人のグループを作り、「月面に不時着したら、15個のサバイバルアイテムのうち何を選ぶか?」という課題を実施。各ラウンドでリーダー役を交代しながら課題を進めてもらう。
- タスクが終わった後、各メンバーが互いにリーダーシップを評価する。
この研究が面白いのは、単に「リーダーに向いてそうな人は?」という印象評価ではなく、実際の振る舞いを記録した上で、各人の性格とリーダーシップを分析したところでしょう。「リーダーとして選ばれやすいか」と「実際に成果を出す力」を分けて評価しているところもポイントですね。
また、この研究では、「リーダーシップの優秀さ」を評価するために使われた軸は、以下の3つになります。
- タスク指向行動:目標に向けて構造を作り、効率的にタスクを進めようとするかどうか?
- メンバー指向行動:他者への共感や支援、協働を重視するかどうか?
- 冷静さ:表情や言動に落ち着きがあり、感情に振り回されないかどうか?
この3つの指標をもとに、実際の「リーダーシップの評価」「タスク達成度」「グループ満足度」とどう関係するのかを分析したところ、こんな結果になりました。
- 外向性が高い人は、リーダーに選ばれやすい
- 協調性が高い人は、リーダーとしての実効性が高い
- 冷静さ(情動コントロール)がある人は、メンバーの信頼を集める
ということで、自分の考えを堂々と発信できて、他者との協調を大事にしつつ、感情のブレが少なくていつも落ち着いてる人は、リーダーとして選ばれやすいし、実際のパフォーマンスへの評価も高いってことですな。まぁ、納得の結果ですよね。
で、ここで面白いのは、「リーダーに選ばれるための資質」と「リーダーとしてうまくやるための資質」が別だって結果が出ている点です。たとえば、この研究に登場するある女性は、
- “外向的な魅力”にあふれているため、すでに実際の企業でリーダーシップを取っている。
- しかし、“協調性と冷静さ”を発揮するのが苦手で、メンバーの声を聞き、支援し、落ち着いて行動することができておらず、リーダーとしては上手く機能していなかった。
みたいな傾向が見られたそうな。外向性のおかげでリーダーには選ばれたものの、それ以外の要素が不足しちゃってるせいで、チームをうまく導けずに苦戦しているわけですな。これは、どんな世界にもよくある話で、「カリスマ性で出世したけど、マネージャーになったら人がついてこない!」みたいなケースは、社会に出るといくらでも見かけるんじゃないかと。
ということで、この研究を踏まえると、私たちがリーダーとして成功するためには、自分の性格を「状況に応じて切り替える力」が大事だと言えるかもしれんですね。そのための方法までは研究では明らかにされていないものの、各指標の内容を見てみると、以下のポイントを意識してみるといいかもしれません。
リーダーに選ばれたいなら?
以下のポイントに気を配って、外向性を表に出すようにする。
- 自信を持って発言する
- 明るい雰囲気を作る
- チームの雰囲気をリードする
- アイデアを積極的に共有する
- 雑談や軽い冗談でチームに活気を与える
- 初対面の人にもフレンドリーに接する
- 場の沈黙を恐れず、会話の流れを作る
- 感情をオープンに伝える(喜怒哀楽を見せる)
- 自分の成功体験をシェアして説得力を出す
- 適度なボディランゲージで存在感を出す
リーダーとして成果を出したいなら?
以下のポイントに気を配って、協調性と冷静さを高める。
- メンバーの意見に耳を傾ける
- 共感や感謝の言葉を増やす
- 冷静さを保ち、動揺を見せない
- 意見が対立しても感情的に反応しない
- 話すより“聞く”ことを優先する
- 自分の意見を押し付けず、調整にまわる
- メンバーの貢献を目に見える形で認める
- 会議や議論で沈黙が続いても焦らない
- タスクが遅れても冷静に優先順位を見直す
- 緊張する場面でも落ち着いたトーンを保つ
ちなみに、このなかだと特に「冷静さ」がパフォーマンスにめちゃくちゃ影響してくる感じでして、リーダーを目指す方は心がけたいところです。たしかに、どんなにいいアイデアがあっても、パニクったらすべて台無しですからねぇ……。
さらに余談ながら、かつての自己啓発では「一貫性のある人格!」みたいなことが重視されがちでしたけど、近ごろの研究は「性格特性をいかに柔軟に使い分けられるか?」のほうに軸足が移っている感じもしております。「自分がどんな性格か?」だけじゃなく、「いま求められているのはどの特性か?」ってのを考えるほうが、これからは有効なのかもですなぁ。


