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「筋トレの効果が出やすい人/出にくい人」はなにが違うのか?問題

 
 

筋トレを続けていると、誰しも一度は「同じようにやってるのに、なんであの人だけバキバキに筋肉がつくの?」みたいな疑問を持ったことがあるはず。ジムで週3回、真面目にトレーニングをして、食事にも気をつかっているのに、となりのトレーニーのほうが明らかに成長が早い……みたいな問題ですな。

 

これは筋トレ界隈で昔からよく確認されてる現象で、実際に同じトレーニングをしていても、成長しやすい人としづらい人がいるのは事実。ただし、これがなぜ起きるのかってのはまだ謎が多くて、「筋トレで伸びにくいのは体質だ!」って主張があるかと思えば、一方では「たまたま調子が悪かったとか、たまたま測定エラーが出ただけかもしれないじゃん!」みたいな考え方もあったりするんですよ。悩ましいですねぇ。

 

では、実際のところはどんなもんかってことで、ユヴァスキュラ大学 のチームが面白い実験(R)をしてくれてましたんで、内容をチェックしておきましょう。まずは実験のデザインからチェックしてみますと、だいたい以下のような感じです。

 

  • 参加者は18〜40歳の未トレ経験者55名。
  • すべての参加者を2つのグループに分ける。
    • 筋トレグループ(n=20):10週間トレ→10週間の休止→10週間トレ
    • コントロールグループ(n=27):何もしない
  • 筋トレグループには週2回のフルボディトレーニング(脚・胸・腕・背中)をしてもらい、筋肉のサイズ、筋力などを測定する。

 

ここで重要なのは、「同じ人にまったく同じプログラムを2回やってもらった」という点でして、これによって「筋肉の変化は偶然の産物なのか、それとも本質的な反応の違いなのか?」が明らかになるわけですね。ありがたい研究ですなぁ。

 

でもって、その結果がどんなもんだったかと言いますと、筋トレをしたグループには、以下のような変化が見られたんだそうな。

 

  • 筋肉サイズの増加
    • 太もも:+16.0%
    • 上腕:+17.5%

 

  • 筋力の増加
    • レッグプレス:+21.7%
    • バイセップカール:+25.4%

 

ってことで、ここらへんは想定の範囲内でありましょう。ただ、ここで面白いのは“筋トレに対する反応”のほうでして、こちらをまとめてみると、ざっくりこんなふうになります。

 

  • 1回目に筋肉サイズと筋力が伸びた人は、2回目でもまた伸びており、その相関係数は0.67〜0.76だった(なかなかに強めの関係性)。つまり、「筋トレに強く反応する人」は、再度トレーニングしてもやっぱり同じように反応するのだと考えられる。

 

  • 1回目の筋トレで「統計的に“変化なし”と判定された人」も、2回めの筋トレではガッツリと筋肉が成長した。たとえば、上腕の筋肉サイズを計測すると、1回目で変化がなかった人でも、2回目には普通に成長が見られた

 

そんなわけでして、簡単に言えば「完全に筋トレの効果が出ない人なんて、ほとんどいない」ってな結論であります。もちろん、たしかに一時的に筋肉の伸びが悪いような人はいるんだけど、ちゃんと筋トレのプログラムを続けたり負荷を調整すれば、どんな人でも成長するってわけですな。

 

さらに、もうひとつ面白いのが、

 

  • 最初のトレーニングで筋肉がたくさん成長した人ほど、休止中に大きく落ちた

 

って傾向も見られたところですな。この現象については、上腕の筋肉では-0.67の相関係数が出てまして、なかなかのネガティブ相関になっております。これはつまり、「筋トレに反応しやすい人ほど、休んだらそのぶん落ちるのも早い」ってことっすね。まぁ、もともと筋肉が増えた量が多ければ、落ちる分も多くなるのは自然な話なので、「そりゃそうだよなー」って気がするわけですけども。

 

ちなみに、似たような話は有酸素運動の分野でも出ていて、最初は変化が見られなかった人でも、トレーニングの「量」や「期間」を増やすことで効果が出てくることが知られてたりします。これは筋トレでも同じようなことが言えるのかもですな。

 

ということで、これらの結果をまとめてみると、

 

  • 筋肉の「伸びやすさ」には、たしかに個人の特性がからんでいる
  • ただし、筋トレをして筋肉がまったく伸びない人はおらず、トレーニングを続ければちゃんと成果は出る

 

ということになりましょう。もっとも、「なぜ人によってこんなに反応が違うのか?」という疑問については正直まだよくわかっておらず、栄養かもしれないし、睡眠かもしれないし、ホルモンかもしれないし、あるいは腸内細菌かもしれないしってことで、ここらへんは今後の研究にまかせるしかないっすな。

 

つまり、今回の研究から得られる実用的なアドバイスとしては、

 

最初に伸びなくても、絶望しない:トレーニング量や期間を増やせば、遅れて反応が出る可能性は全然あるんで

反応が鈍い部位には、アプローチを変える:種目、セット数、インターバルの調整などを試してみると反応が変わることはよくあるんで

「自分は筋肉がつきにくい体質だ」と決めつけない:真のノンレスポンダーはほとんど存在しないっぽいので

 

みたいになるでしょう。このあたりを押さえておけば、より効率的に筋トレを楽しめるんじゃないかと。

 

結局のところ、筋トレってのは「自分の個性に合わせて試行錯誤できる人」が強いので、「なんか筋トレの成果が出ないなー」と思ったら、ちょっと種目を変えてみたり、量を増やしてみたり、ちゃんと寝てみたりと地道に修正していけば、筋肉はちゃんと答えてくれるはずであります。どうぞよしなに。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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