デビッド・リンチに学ぶ創造性アップのコツ
「大きな魚をつかまえよう」って本がありまして。
著者は映画監督のデビッド・リンチ。「イレイザーヘッド」やら「マルホランド・ドライブ」やら、わたし好みの作品を撮る方であります。
本書はリンチ監督が2006年に書いたエッセイで、彼が長年実践している「TM瞑想」に関する説明がメイン。かつて瞑想に興味がないころに読んだときは、「瞑想で映画のアイデアを得てるのか〜」ぐらいにしか思わなかったんですが、いま読み返すと、彼が考えるクリエイティブのコツや瞑想の方法が書いてあって面白いです。
以下、リンチが挙げる創造性アップのポイントをいくつか。
1・とにかく、どこでも瞑想する
リンチいわく、瞑想は意識のより深い部分にアクセスするための手段だそうで、「深いところにいる魚は力強くて純粋。巨大で抽象的。そしてとても美しい」と、かなり独特な表現で瞑想の魅力を説明しておられます(笑)。
で、まずは、どんなところでも常に瞑想をするのがリンチ流らしく、「誰にでも瞑想する時間はある。瞑想ルームで足を組む必要はない。どこででも瞑想をするんだ。空港でも、仕事中でも、いまいる場所で瞑想をすればいい」とのこと。
2・自分がコントロールできるものに集中する
時間のプレッシャーは創造性の敵。このことを、リンチはまた独自の表現で説明しています。
ドーナツの穴ではなく、ドーナツそのものに集中しよう。ドーナツに意識を向けつつ自分の仕事をする。それが、あなたのコントロールできるすべてだ。あなたは、あなたの外部にあるものをコントロールすることはできない。
「なに言ってんだ?」って感じですが、ようは「気をそらすな」と言っているらしい(笑)。自分の時間を見つけて、ちゃんと自分がコントロールできることだけに集中しよう!といったところでしょうか。確かに、瞑想も「自分だけがコントロールできる」数少ない行為の1つですな。
3・ちゃんと寝る
リンチにとって、瞑想のつぎに大事なのは睡眠らしい。「ちゃんと仕事をして、ちゃんと瞑想をするには体を休めなければならない」と強調しておられます。まぁ睡眠不足が認知機能をおびただしく下げるのは、いろんな実験で証明されてますしね。
4・慈悲の心を育てる
リンチいわく、
瞑想は決して利己的な行為ではない。それゆえに創造性が育まれる。他者への慈悲と感謝、他者を助ける気持ちは、瞑想によって大きくなる。純粋な愛と平和、慈悲の海原に飛び込み、その感覚を経験すれば、本当に他者を助けることができるようになる。
とのこと。「ロスト・ハイウェイ」や「ワイルド・アット・ハート」みたいな映画を作った監督のセリフとは思えませんが、本気でこういうことを思いつつ、暴力的な作品も撮れちゃうのがリンチの面白さなんでしょうなぁ。
そんなわけで、デビッド・リンチ「大きな魚をつかまえよう」のご紹介でした。個人的には、リンチが実践している「TM瞑想」は宗教臭が強くて好きじゃないんですが、この本自体はファンでなくとも楽しく読めるのではないかと思います。