石器時代の人たちは意外と長寿だったという話
「脂肪とウエストが激減する“石器時代ダイエット”に要注目?」ってニュースが出ておりました。
脂肪とウエストが激減する“石器時代ダイエット”に要注目?大学調査 - IRORIO(イロリオ)
スウェーデンの大学がパレオダイエットの効果を確かめたら、最初の半年で被験者の体脂肪が2倍減ったって話でして、当ブログでも今年の2月ごろに「2年の長期研究でパレオダイエットの有効性が証明されたぞ」って記事で取り上げましたので、くわしくはそちらをどうぞ。
で、ここで気になったのが以下の文章。
ネットでも「石器時代は30まで生きられれば大往生、現代の食事なら80まで生きられるぞ~」とのコメントもあり、今すぐ石器時代に倣う人は少ないようだ。
「パレオダイエットは健康にいいっていうけど、それなら石器時代の平均寿命が超短いのはおかしくね?」ってのは定番のツッコミ。確かに石器時代の平均寿命は、男性が35.4才、女性が30.0才でして、現代から見るとかなり短いんですな。
ただし、この数字は感染症で死んだ乳幼児や戦争で殺された若者のデータもふくんでますんで、 抗生物質が発達した現代の平均寿命とくらべるのは難しいところ。抗生物質すごい。実際、考古学調査では80代を超えた原始人の骨もかなり見つかってまして、早死にせずに寿命をまっとうした場合の平均は68〜78才ぐらいだったらしい[1]。
でもって、平均寿命よりもさらに重要なのは、原始時代には肥満・ガン・免疫疾患・心臓病といった現代病が存在しなかったところ。これは古代人の骨やミイラ化した人体の調査にもとづくもので、かなり精度は高い感じ。エジプトのミイラから軽い免疫疾患が見つかったって報告はあるので、現代病のきざしが見え始めたのは新石器時代のころみたい。
そんなわけで、単純に寿命をくらべただけでは、現代の食事のほうが優れているって理由にはならないよって話でした。どっとはらい。