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「俺は最高だ!」と自分に言いきかせてもムダな理由


自己啓発の世界では「アファメーションを使えば、なりたい自分になれる!」なんてことを言いますが、それはかなり眉唾モノだという話を書きます。




アファメーションがどういうものかと言いますと、


アファメーション(affirmation)とは肯定的な断言をする事。個人的な「誓約」をする事。

具体的には「~したい」「こうなれば良いな…」という願望を「~だ」断定し繰り返し唱える事で、潜在意識に働きかけ、変化や成長が遠くの未来にあるものではなく「今・ここにあるのだ」という現実を作り出す事と言われている。

参考:http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A2%A5%D5%A5%A1%A5%E1%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3

要は「自分は最高だ!」とか「私は魅力的だ!」みたいなセリフを唱えまくることで、潜在意識が変わるんだよ〜という話です。


で、このアファメーションの効果について調べたのが、2009年に出たウォータールー大学の研究[1]


まずは被験者たちに性格テストを行いまして、「自己肯定感が高い人」と「自己肯定感が低い人」の2グループに分類。そのうえで、全員に「私は魅力的だ!」ってセリフを唱えてもらいながら、4分間にわたって自分の感情を自由に書いてもらったんですな。


その結果、「自己肯定感が高かった人」には特に変化はなし。さらに「自己肯定感が低かった人」は、アファメーションを唱える前よりも気分が落ち込んで、自己肯定感も下がっちゃったらしい。


なんでも、もとから「自己肯定感が低い人」が肯定的なアファメーションを唱えると、逆に「そうは言っても、オレは魅力的じゃないしなぁ…」って考えが浮かび上がっちゃって、ますます気分が沈んでいくみたい。


このあたりは、以前に「ポジティブシンキングで人生をムダにしないための5つのポイント」で書いた、ネガティブから目をそらそうとすればするほど否定的な感情に頭が支配されてしまう「シロクマのリバウンド効果」と同じことですね。


もちろん、この実験は長期的な影響を調べたものじゃないんですが、シロクマ効果から考えても、アファメーションの効果はかなりあやしい感じかなー、という感じ。特に最近は、「そもそも自己肯定感なんか高くなくてもいいんじゃね?」とも思ってますが、それはまた別の話。


ちなみに当ブログでは、 過去にも自己啓発の定番テクニックを腐す話をいろいろ書いてますので、よろしければ以下からご参照ください。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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