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実は「じゃがいも」って素晴らしいんじゃないかと思い直し始めた件

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 パレオダイエット糖質制限ダイエットの世界ではじゃがいもがNG食品と言われてまして、かつてはわたしも冷蔵庫から除去していたことがあったんですが、近ごろは考え方が変わってきております。

じゃがいもの味方をしてみる
そもそも、じゃがいもがダメと言われるのは、

  1. 腸の働きをブロックしてリーキーガットの原因になるレクチンが入っている
  2. GI値が高いので血糖値を上げやすい

の2点が大きな理由であります。


が、レクチンに関しては加熱調理をすれば毒性が消えることがわかってまして(1)、生でじゃがいもをかじらない限りは問題にならない感じ。


また、じゃがいものGI値は87でして(2)、これは確かに高い数値ではあるんですが、100グラムあたりのグルコース量は37kcalぐらいで意外と少なめ。ちょい前に「結局、炭水化物は1日にどれだけ食べるのがベストなのか?」にも書きましたとおり、少しの炭水化物は健康のために必須なので、1日に2〜3個なら十分に安全なレベルではないかと思います。余談ですが、マッシュポテトで二日酔いが治るなんて話もありますし(笑)。

じゃがいもの大きなメリット
さらに、じゃがいもには大きなメリットが1つありまして、それがレジスタントスターチと呼ばれる食物繊維。これは胃や小腸で消化されないデンプンなんですが、腸内細菌たちはレジスタントスターチが大好物なんですな。体内に入ったレジスタントスターチは、大腸で発酵を起こして大量の酪酸を作ってくれます(3)。


酪酸はめっちゃ素晴らしい成分でして、こいつが増えると、

  • 大腸のダメージを治してリーキーガットをふせぐ(4)
  • 食後の血糖やインシュリンの上昇をおさえる(5)
  • 空腹時の血糖値を低くしてくれる(6)

などの効果があるんですな。GI値が高い食品なのに、実は血糖値を安定させる作用があるってのが面白いですねぇ。


で、さらに面白いのが、2009年に出た論文(7)でして、マウスに大量の高脂肪食を与える実験を行ったところ、同時に酪酸を与えられたマウスは体脂肪の上昇率がハンパなく低かったんですな。下のグラフの「Butyrate」が、酪酸を与えられたマウスのデータであります。


Butyrate body fat

いやー、この数字は凄すぎる。あくまでマウス実験なのでハッキリとは言えませんけど、これだけの差がつくデータも珍しいんじゃないでしょうか。


まとめ
以上のことから、じゃがいもにはGI値の高さを上回るメリットがあると思う次第です。といっても、急激なインシュリンの上昇はおさえたほうがいいので、

  1. じゃがいもは茹でて調理する:茹でたじゃがいもはGI値が60〜70ぐらいで落ち着くのに対し、オーブンで焼いちゃうと100に近くなっちゃうので(8)。
  2. 脂肪といっしょに食べる:杉山みち子教授の調査(9)によれば、炭水化物と脂肪をいっしょに食べるだけでもGI値はガクンと下がるみたい。特に乳脂肪と組み合わせるのがベストとのこと。
  3. 緑黄色野菜といっしょに食べる:食物繊維は炭水化物のGI値をゆるやかにするので、野菜は必須(10)。

といったポイントを守ればよさげ。つまり、茹でたじゃがバターが最強ってことですな。じゃがいもには、今までの無礼をわびたい(笑)。

credit: oddsock via FindCC
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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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