いい人すぎて逆にヤバい?「アンチサイコパス」ってなんだ?
たまにサイコパスネタを扱う当ブログ。過去にも「医学的に正しいサイコパス映画4選」や「サイコパスが多い職業トップ10」なんて話を紹介してきましたが、近ごろ出た論文(1)では、いい人すぎて逆にサイコパスに近づいちゃった『アンチサイコパス』って性格が紹介されてまして、これがなかなか面白い。
これはジョージタウン大学の研究でして、「まったく良心がないサイコパスってキャラがいるなら、その真反対のキャラはどんな人なんだろう?」って謎を調べたもの。調査にあたって、研究者たちは過去の腎臓移植のデータを洗い直しまして、身内や友人以外の何らゆかりのない他人に腎臓を提供した人たちを探しだしたんですね。
で、彼らを脳スキャンにかけたところ、以下の傾向があったそうな。
- 扁桃体(脳の感情をつかさどるエリア)が大きかった
- 他人が恐怖するデータに脳が反応しやすかった
これは、サイコパスの特徴とはまったく反対でして、扁桃体が大きいぶんだけ、困っている人を見ると放っておけなくなりやすいらしい。研究者いわく、
サイコパスは「悪の中毒状態」と呼べる一方で、このアンチサイコパスは「善の中毒状態」だと言えるでしょう。
とのこと。ちなみに、この発想は過去にもありまして、認知学者のアンドレア・クシェウスキ博士は、「サイコパスとアンチサイコパスは、実は同じようなキャラだ」と主張しております(2)。すなわち、
▼サイコパスの特徴
- 衝動がコントロールできない
- 新しいもの好き(目新しい経験をしたがり、リスクを恐れない)
- 自分の行動に後悔しない
- 自分の欲望しか考えられない
- 規則を破っても気にしない
- つねに自分のために行動する
▼アンチサイコパスの特徴
- 衝動がコントロールできない
- 新しいもの好き(目新しい経験をしたがり、リスクを恐れない)
- 自分の行動にさほど後悔しない
- 他人の欲望を見逃すことができない
- 規則を破っても気にしない
- つねに他人や公益のために行動する
って感じ。つまり、アンチサイコパスは、他人のためになることはルールを犯してでもやり遂げる超正義の味方なわけですね。衝動のほこ先が自己か他者かの違いだけで、行動が極端な点ではどちらも同じと言いますか。
なんというか、正義に狂った国際警察が殺人と破壊の限りを尽くす名作「チーム★アメリカ」を思い出しました(笑)。なにごとも、ほどほどがいいっすねぇ。
credit: Andrei C Ion via FindCC