結局、体は冷やしたほうがいいのか?温めたほうがいいのか?
「体は冷やしたほうがいい?それとも温めたほうがいい?」とのご質問をいただきました。要点を抜粋しますと、
以前、体を温めると病気が治るというような本がベストセラーになったり、昔から寝冷えは良くないなどと言われていましたが、一方で寒風摩擦や水風呂など敢えて体を冷やす健康法なども実践している人も多いと思います。
またアンチエイジングで有名な南雲医師の本には敢えて体を冷やすという健康法が書かれていた記憶が有ります(立ち読みの記憶なので詳しい内容は曖昧なのですが…)。
実際のところどうなのか、というところをもしご回答いただければと思った次第です。
とのこと。確かに、世間では完全に真逆の健康法がオススメされてまして、どっちがいいの?と悩んじゃうところです。
代謝のアップ度は「体を冷やす」ほうの勝ち
そこで、まずは代謝の面から両者のメリットを見てみましょう。
以前に「冷たいシャワーがダイエットとアレルギーに効く!は本当か?」にも書いたとおり、体を冷やすと代謝がアップするのは間違いないところ。気温が下がると褐色脂肪の量が増えて、脂肪がガンガン燃えるようになるんですね。ただし、この効果に関しては、かなり個人差が大きいことがわかってまして、単純に「体を冷やせば痩せる!」とは言いづらいんですが。
一方で、体を温めるメリットについて参考になるのが2013年の論文(1)。これはコロラド州立大の研究でして、ホットヨガと代謝の関係を調べたんですな。
実験の内容は、18人の男女を40℃の部屋に入れ、90分にわたってヨガをやってもらうというもの。すると、一時的に全員の心拍数は上がったものの、代謝率やカロリー消費にはさほどの差が出なかったんだとか。ちょっと意外な結果ですね。
そんなわけで、代謝に関しては体を冷やすほうの勝ちと言えそう。
体を温めても冷やしても免疫力はアップする
次に、免疫力アップの面から見てみます。
体を冷やすとウイルスに強くなるってデータは結構ありまして、冷水に入ったら免疫系が活性化したとか(2)、毎日プールで泳ぐと免疫細胞が増えたなんて話も(3)。この点で、水風呂が体に良いのは間違いなさそう。
ただし、一方では、体を温めても免疫系は活発になるってデータも多いんですね。具体的には、かつて「サウナは若返りに効くのか問題」でもご紹介したとおりで、体を温める回数が多いほど風邪を引きにくくなるようなんですね。
なんでも、体を冷やすにせよ温めるにせよ、どちらも免疫系に軽いストレスをあたえることで、逆にウイルスへの抵抗力がアップするみたい。よくできてますねぇ。
ただし効果は長続きしない
そんなわけで、どちらの方法にもメリットはあるんですが、いずれも効果が長続きしないのが難点であります。たとえば、いったん体を冷やして代謝が上がったとしても、その後も毎日のように冷水を浴び続けないと2日ぐらいで褐色脂肪の量は元にもどっちゃうそうな。
つまり、どちらの健康法も、毎日のように実践しないと意味はないわけでして、最終的には、自分がムリなく実践できるほうを選べばいいかと思います。ご参考になりましたでしょうか。
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