パレオダイエットと低糖質ダイエットの違いとは?
「世界ふしぎ発見!」でパレオダイエットが紹介されたそうで、当ブログにも、いろいろとご質問をいただいております。なかでも多かったのが、「パレオダイエットって要は低糖質ダイエットと同じじゃね?」というもの。
炭水化物を食べまくるパレオダイエットもあり得る
で、実際に番組を見てみたら、確かにそう思われてもしかたない感じではありました。とくに狩猟採集民の糖質の摂取量を示したグラフなんかを見ると、「やはりデブの原因は糖質!」とか思ってもムリはないかと。
ただ、正味な話、いまのパレオダイエッターで「なにがなんでも糖質はダメだ!」と主張してる人は、そんなにいないと思われます(12〜3年ぐらい前は結構いた)。
というのも、ここ数年は文化人類学のデータが発展してきまして、すべての狩猟採集民が低糖質な暮らしを送ってるわけじゃないことがわかっているんですよね。
かつて「糖質は必要な栄養素なのか、それともただの毒なのか?」で書いた内容を引用しますと、
世界をみわたすと、炭水化物を食べまくってても肥満や糖尿病と無縁に暮らす人たちが結構いるんですよね。
代表的なのはパプアニューギニアのキタバ族で、彼らの食生活は総カロリーの約70%が炭水化物だったりします(1)。まだ長寿大国だったころの沖縄もすごくて、実に総カロリーの85%が炭水化物。さらに、太平洋の島に暮らすツキセンタ族は、なんと総カロリーの約95%が炭水化物!(2)
といったところ。人間の体は、想像以上に糖質をやりくりする能力を持っているわけですね。
また、最近も「原始人が摂取していた三大栄養素にはバリエーションが大きい」って論文(3)が出たばかりでして、いよいよ「糖質こそデブの原因!」とは言いづらくなってきた感じ。なので、極端な話、「炭水化物を食べまくるパレオダイエット」も十分にあり得ます(笑)
現代人の生活習慣こそが肥満と不調の原因
では、デブの原因ってなに?って話ですが、いまの時点で有力視されているのが 「セットポイント理論」です。くわしく説明すると長いので、手っ取り早く概要を知りたい方は、以下の動画をどうぞ。
もうちょいくわしい解説は、以下のエントリをどうぞ。
- 本来、人間は太らないようにできている「初めてのセットポイント理論 その1」
- 人間は脳から太っていく「初めてのセットポイント理論 その2」
- いくら食べても食欲がおさまらないのはなぜ?「初めてのセットポイント理論 その3」
- 脳の不調から来る肥満を防ごう!「初めてのセットポイント理論 その4」
- 細胞を癒して痩せよう!「初めてのセットポイント理論 その5」
さらに、セットポイントの不調で太っちゃう理由を示したのが、以下のチャートになります。
いろいろと書いてきましたが、上の図を一言でまとめてしまえば、
現代人にありがちな生活習慣が肥満と不調の原因
ってことです。つまり、セットポイントが狂わない生活を意識すると、自然とパレオダイエットの発想に近づいていくんですよね。
まとめ
そんなわけで、パレオダイエットでは「糖質さえ制限すれば痩せる!」とは考えておりません。気軽に取り組めるダイエット法としては「糖質制限」も有効かと思いますが、実際の肥満と不調の仕組みはもうちょいややこしくなってまして、パレオダイエットでは、それらの原因を総当りで修正していくのが目的になっております。
あと余談ですが、すごく久しぶりに「ふしぎ発見」を見たら、あいかわらず黒柳徹子さんの正解率が高いのを見て、なぜかホッとしました(笑)