過去のデータの徹底検証により「パレオダイエット」がメタボに効きまくることがあきらかになった件
ここ4年ぐらいパレオダイエットを実践してるわけですが、なんせ世に出て10年ちょっとしか経ってない食事法なんで、まだまだ臨床データが少ないのが難点。実際、海外でも「エビデンスが足りないよね〜」などと言われることがよくあったんですね。
ようやくパレオダイエットの信頼性が高いデータが
ところが、最近になって、ようやくパレオダイエットの効果について調べたメタ解析が出てきましたので(1)、さっそくチェックしてみました。メタ解析とは、過去に行われた実験データを精査して「大きな結論」を出す調査法のこと。複数のデータから優秀なものだけを抜き出すので、科学的な証拠としてはかなり信頼度が高めであります。
今回のメタ解析は、世界的な予防医学の研究プロジェクトであるコクラン共同計画によるもの。ここ10数年の間に行われたパレオダイエットの論文から実験デザインが甘いものを除外して、159人分のデータをまとめあげたんですね。そのうえで、
- ウエストサイズの変化
- 高血圧
- 中性脂肪
- HDLコレステロール
- 血糖値の変化
にあたえる影響をみたんだとか。いずれもメタボや慢性病と密接に関わる数値ですな。
パレオダイエットは、腹周りの脂肪・高血圧・中性脂肪に効く
で、その結果を一言でいえば、
- パレオダイエットは国際的な予防ガイドラインよりもメタボに効くよ!
というもの。「国際的なメタボの予防ガイドライン」とは、
- 全粒粉のシリアルを食べる
- 低脂肪の乳製品をとる
- 飽和脂肪酸を総摂取カロリーの10〜15%に減らす
といった感じの食事法であります。1970年代ごろに生まれた健康食のイメージですね。
これに対し、パレオダイエットが良い成績をおさめたのは、
- ウエストサイズの変化
- 高血圧
- 中性脂肪
の3ポイント。残りのHDLコレステロールと血糖値については、統計的に差が出なかったんだそうな。
一般的なダイエット法よりも良いガイドライン
研究者いわく、
この研究では、肥満の原因であるメタボリックシンドロームの問題に取り組んだ。パレオダイエットは一般的なダイエット法よりも良いガイドラインだし、すでにメタボに悩む人にもメリットがあるだろう。基本的に、パレオダイエットを実践すれば多くの人々の病状は良くなるだろうし、完治の可能性もある。(中略)今回のメタ解析では、パレオダイエットがメタボの原因を短期的に改善することをあきらかにした。
とのこと。かなりの絶賛ぶりですけども、メタ解析としてはデータ数が少ないので、正直エビデンスとしては中レベルって感じだと思います。ただ、いままでは周辺データからパレオダイエットの効果を推測するしかなかったんで、やっとメタ解析が出てきたのは良いことだなぁ、と。
ちなみに、研究者はパレオダイエットのポイントにも触れてまして、これがなかなか大事。
パレオダイエットは低糖質ダイエットではない。本質的に問題にしているのは加工食品である。(中略)パレオダイエットが健康にいいのは、加工食品を減らすことで体の炎症がおさまり、インスリン抵抗性が改善するからだ。
あらためて低糖質ダイエットとの違いが強調されておりました。確かによく誤解されるポイントですからねぇ。というわけで、パレオダイエッターのみなさまには、まことにありがたい話でした。