どうしても自分を批判しちゃうのは「帰属エラー」が原因。「抽象化」で改善しましょう
よく自己啓発本などに「自信をつけるためには成功体験を積み重ねよう!」などと書かれてたりしますが、そんな簡単なもんじゃないことが認知行動療法の研究でわかっております。
成功しても自分を批判しちゃうのは帰属エラーが原因
というのも、自己批判の多い人は認知に歪みがありまして、失敗は自分のせいとして考え、成功は単なる幸運として考えがちなんですな。たとえば、
- テストに失敗した!=俺はバカだ…、俺はダメな人間だ…と考える
- テストの点が良かった!=今回は問題が簡単だった、勘が当たっただけだ
みたいな感じ。これでは、いくら成功を積み重ねようが自信などつくはずもなし。心理学の世界では「帰属エラー」と呼ばれる基本的なバイアスであります。
この問題に特効薬はなくて、自分の帰属エラーに気づく訓練を地道にくり返していくしかなさそう。かく言うわたしも「帰属エラー」を起こしがちな人間なんですが、認知行動療法でトレーニングしたせいで近ごろはマシになっております(根強く残ってはいるんだけど)。
帰属エラーを避けるための簡単な質問
で、近ごろオハイオ州立大から出た論文(1)も、「帰属エラーを避けて正しく自信をつけるトレーニング法」について調べていてちょっと面白いです。
これは59人の学生を対象にした実験で、まずは全員に人前で簡単なプレゼンをしてもらったんですね。その後、研究者はすべての学生のスピーチをほめたうえで、以下の2パターンの指示を出したんだそうな。
- 自分がいかにプレゼンの内容を組み立て、具体的なスピーチに落とし込んだかを考える
- 「私はスピーチを上手くやりとげた、なぜなら______だからだ」という文章の空欄を埋める
1番めの指示が「手段(How)」について考えさせたのに対し、2番めでは「理由(Why)」について考えさせたわけですね。
すると、「理由」について考えた学生は、続いて行われた2回めのプレゼンの成績がアップ。難しいテーマでも自信を持って取り組めるようになったんだとか。
この手法を、研究者は「直接的抽象化」と呼んでおります。具体的な手段よりも抽象的な理由について考えたほうが自分の能力やスキルに注意が向きやすくなり、結果として帰属エラーを避けやすくなるみたい。
もちろん、帰属エラーは根深い思考のクセみたいなもんなんで、このテクニックを1回使っただけでは完治はしません。何かに成功するたびに抽象化を行いつつ、少しずつ認知の歪みを取り除いていくのが大事かと思われます。
まぁ手軽に使える技法なんで、自己批判の傾向が強い方は使ってみたらよいかもですねー。