抗生物質がもたらす健康ダメージを最低限に防ぐためのガイドライン
こないだ「抗生物質のダメージは結構エグいよ」って話を書きましたが、生きてれば抗生物質が必要になるケースは絶対にあるはず。
もちろん乱用は厳禁ですが、どうしても抗生物質を使わねばならないときは、腸内環境へのダメージを最低限に抑えるための対策を取っておくと便利。とくに子どもほどダメージを受けやすいんで、抗生物質を使う際は同時に以下の処置もしてあげるとよいかと思います。
1.まずはプロバイオティクスから
なにはともあれプロバイオティクス(体に良い微生物)は必須。ビオスリーHi錠でもProbiotic-3でもいいんで、抗生物質といっしょに善玉菌を送り込んでやりましょう。
というと、「抗生物質がプロバイオティクスを殺しちゃうんじゃない?」って疑問もわきますが、この場合は腸内で定着しなくても大丈夫。かなり多くの実験で、死んだ善玉菌でも抗生物質のダメージがやわらぐことが明らかになってるんですね。
たとえば、
- 135名の患者さんに抗生物質を飲んでもらったところ、プロバイオティクスを飲んだグループは12%しか下痢を発症しなかった(飲まなかったグループは37%の発症率)(2007年,1)
- 151名の患者さんに抗生物質を飲んでもらったところ、プロバイオティクスを飲んだグループは1.4%しか下痢を発症しなかった(飲まなかったグループは9%の発症率)(2002年,2)
- 1076人分のデータを調べたメタ解析では、サッカロミセス・ブラウディ(プロバイオティクスの一種)を使った患者は、抗生物質にともなう下痢の発症率を17.2%から6.7%まで落とせる(2005年,3)
みたいな感じ。あきらかな差が出てますねー。
たいていの実験では、
- 乳酸菌
- ビフィズス菌
- サッカロミセス・ブラウディ
の3種類を使ってますんで、抗生物質を使う予定のある方はお試しください。
2.もちろんプレバイオティクスも大事
プレバイオティクスは腸内細菌のエサになる物質のこと。プロバイオティクスの成長を助けてくれるんで、同時併用は必須であります。
とくに大事なのは水溶性食物繊維で、イヌリンや難消化性デキストリンを飲んでおくといい感じ。いっぽうで不溶性食物繊維は腸を荒らす可能性もありますんで、抗生物質を服用中は避けたほうがよいでしょう。
ただし、不溶性食物繊維のなかでもレジスタントスターチは別。多くの研究で腸内環境の改善に効くことがわかってますんで、1日に小さじ2杯ぶんぐらいを飲んでおくと良いのではないかと。
食事でプレバイオティクスをとる場合は、ニンジンやカブ、ビーツ、タロイモ、グリーンバナナなどを選べばOK。ついでに漬物やザワークラウト、キムチあたりを追加して腸内細菌の多様性を高めておくとベターであります。
3.肝臓もいたわってあげて!
抗生物質は、消化器官だけでなく肝臓にも大きな負担をかけちゃう。薬物を処理しなきゃなんないのはもちろん、死んだバクテリアの残骸などにも対応する必要があるんで、抗生物質を使うほど肝臓は忙しくなっていくんですな。
肝臓をいたわってあげるには、以下のエントリが参考になるかと思います。
そのほかにも、グリシンとプロリンといったアミノ酸も肝臓の働きに必要なんで、鶏ガラや豚骨などのボーンブロススープを飲むのがおすすめ。また、腸内環境の悪化にともなって全身の炎症も増えますんで、
あたりも参考になるかと思います。
いずれにせよ、抗生物質を悪者あつかいする必要はありませんが、無闇に使うと害が大きいのも間違いなし。最低限の対策をしつつ使っていただければ幸いです。