良いアイデアを生み出す14の必須要素が明らかになった件
そもそも創造性ってなんだろう?
当ブログでは、よく「創造性をアップするには?」なんて話を書いております。が、そこで問題になるのが、「そもそも創造性ってなによ?」って問題でしょう。
というのも、ひとくちに「創造性」と言っても、わりと研究者ごとに定義があいまいだったりするんですよ。代表的な創造性テスト(TTCTとか)だと、問題の解決能力や拡散思考をチェックするケースが多いんですが、「それだけでいいの?」とは誰もが思うところでしょう。
ってところで、近ごろすごく良かったのが、ケント大学から出たメタ分析(1)であります。
良いアイデアを思いつくのに必要な要素とは?
この研究がおもしろいのは、「良いアイデアを思いつくのに必要な要素って何?」って問題にガチで取り組んでるところ。具体的には、
- 1950〜2009年までに出版された数千の記事から、創造性について解説しているものを選出
- さらに100数十本の科学論文から、創造性の定義に使われた単語を抽出
って作業を実行。そのうえで創造性に関連する694個の単語を抜き出し、すべてをコンピュータの言語分析にかけたんですね。
創造性に必要な14の要素
その結果わかったのが、「創造性に必要な14の要素」であります。
- 積極的な行為と忍耐
- 不確実性に対する柔軟性
- 特定ジャンルの能力
- 全体的な知性
- 結果の生成
- 自由と独立
- 意図と感情の関与
- オリジナリティ
- 前進と発達
- 社会的な交流とコミュニケーション
- 無意識の反応
- 価値の評価
- 社会への貢献
- 多様性の実験
ざっくり言うと、「良いアイデア」とは、以上のプロセスが組み合わさったときに生まれる可能性が高いんだ、と。いわば、創造性のレシピみたいなもんですな。
14の要素を細かく見てみると…
といっても、このリストだけ見てもワケがわからないでしょうから、それぞれの要素の説明を簡単にしておきます。
- 積極的な行為と忍耐:クリエイティブな活動に積極的に取り組むことと、何かの問題が起きても粘り強く取り組むこと。熱意とガマン強さが大事って感じですかね。
- 不確実性に対する柔軟さ:あいまいな情報や矛盾した情報、不完全な情報に対してイライラせずに対処できる能力。決まったルーチンに頼らなくても行動できるメンタル。
- 特定ジャンルの能力:自分の仕事や趣味に対する知識、技術、経験知の総合。
- 全体的な知性:一般的な常識やIQの高さと、メンタルの健全さ。
- 結果の生成:何らかのターゲットやゴール、結果に向かって行動すること。または、これまでに無かったものを作ろうとすること。
- 自由と独立:自分の活動の内容を自分の意思でちゃんと決められること。同様に、社会的な圧力や文化的なバイアスからも自由であること。
- 意図と感情の関与:「良いアイデアを作るぞ!」という意識を持って取り組むこと。アイデアを形にするプロセスに没頭すること。さらに、何かを作り出すプロセスそのものから喜びを得られること。
- オリジナリティ:新しいプロダクト、新しい方法、新しい関係性の発見など。一般的に言われる「創造性」は、この要素だけに注目するケースが多いっすね。
- 前進と発達:何かを作り出すプロセスのなかで、なにかしら前に進んでいる実感があること。目の前の作業が停滞していても、全体的なプロジェクトが前に進んでいればOK。「やる気を出すにはウソでもいいから前に進んでる感じを作ろう」って話とちょっと被りますね。
- 社会的な交流とコミュニケーション:他者や社会からのフィードバックが得られること。自分の作業を他者にちゃんとシェアして伝えられること。
- 無意識の反応:完全主義になりすぎず、ある程度のコントロールを無意識にまかせられること。全体のプロセスを意識してコントロールせず、ほどよく流れに乗れること。
- 価値の評価:価値がありそうな物のポテンシャルに気づき、意識して判断できること。いくつかのオプションのなかから、理論や推論を使ってベストなものを選ぶこと。
- 社会への貢献:自分が作り出したものが社会から認められること。
- 多様性の実験:さまざまなタイプのアイデアを作り出し、それらの新しさを比較し、いろんなオプションを試すこと。
まとめ
というわけで、創造性に必要な14の要素を見てみました。この研究が良いのは、以上のポイントを「創造性チェックリスト」として使えることでしょうね。
たとえば、「なんかピリッとしたネタが出ないな〜」とか「ブログが書けなくなった!」みたいな問題にぶち当たったときは、リストをざっと見て「あ、ちょっと完全主義すぎたか…」とか考えてみると吉。もちろん、創造性を決める要素は他にもあるかもですが、とりあえずの叩き台として使っていけばいいんじゃないでしょうか。